【7月12日 AFP】バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)体験で空飛ぶクジラに乗ったり、木から猫を助けたりすることによって高所恐怖症の症状を緩和できたとする研究論文が12日、英精神医学専門誌ランセット・サイキアトリー(Lancet Psychiatry)に発表された。

 論文によると、英オックスフォード大学(University of Oxford)のダニエル・フリーマン(Daniel Freeman)氏(精神医学)率いる研究チームはボランティア100人を集め、比較のため50人にVRを使った高所恐怖症の治療を実施。

 治療で被験者らはゴーグルや触知可能なグローブを着用し、指示に従いながら3次元VRの世界でぐらぐらする橋を渡ったり、木から猫を救出したり、バルコニーの縁で作業したり、空飛ぶクジラに乗ったりする課題に挑戦した。

 結果、4分の3以上の被験者が高所恐怖症の症状が少なくとも半分に緩和されたといい、研究チームはVRが「精神衛生上の疾患に対する治療の提供を大幅に増加させる可能性がある」と結論付けた。

 研究チームによると高所恐怖症の人の多くは一度も治療を受けたことがなく、この治療がセラピストによる治療を受ける金銭的余裕がない人にも手の届く安価な治療法となる可能性もある。(c)AFP