【7月13日 東方新報】中国の民間ロケット開発企業、北京藍空間科技(Land Space)は5日、自社開発中の中型の液体酸素とメタンを推進剤とするキャリア・ロケット「朱雀2号(ZQ-2)」のシステム設計が6月に完成したと発表した。19年には地上テストを終え、20年には打ち上げる計画だという。

 同社の張昌武(Zhang Changwu)CEOは、「朱雀2号は中国国内の民間ロケット企業初めての中型ロケットで、輸送能力は世界3位、中国では1位だ」と説明する。

 同社の康永来(Kang Yonglai)CTOは、「朱雀2号は、直径3.35メートル、全長48.8メートル、総重量216トンで、打ち上げ時の総推進力は268トン。500キロ高度の太陽同期軌道での輸送能力は2トン、200キロ高度の低軌道での輸送能力は4トン。大型のSUV自動車2台を宇宙に打ち上げることができる」と説明する。

 康CTOは、「インターネット、モノのインターネット(Internet of Things、IoT)、自動車分野に特化した(Internet of Vehicles、IoV)の発展により衛星への需要が増えてきているが、現時点で存在するキャリア・ロケットは衛星市場の40%の需要しか満たすことができず、商用のロケットは品不足状態の製品といっていい」と話す。

 市場戦争に勝つために、商用ロケットはコストと性能の間でバランスを取ることが重要になってくる。康CTOは、「だからこそ液体燃料ロケットを選択した。米スペースX(SpaceX)のエンジンであるラプター(Raptor)や、米ブルーオリジン(Blue Origin)の「BE-4」も液体燃料を使用するロケットエンジンだが、市場に合わせた結果だ」と話す。

 康CTOは、「重量1キロ当たりの液体燃料の性能は、同量の固体燃料の性能よりも40~50%も高く、それでいて価格は固体燃料よりも安い。将来、朱雀2号の1キロ当たりの打ち上げコストはスペースXの中型ロケット、ファルコン9を下回るだろう」と話した。

 中国国内では、民間宇宙企業の零壹空間航天科技(One Space)が今年1月に5億元(約83億円)の投資を受けて、コストパフォーマンスの高い商用固体燃料ロケットエンジンを採用した商用の小型衛星打ち上げサービスの提供を目標とし、研究と開発を進めている。また、国営の中国航天科工集団(CACIC)第四研究院が、航天科工火箭技術(Expace)という企業を設立し、「快舟(Kuaizhou)」を打ち上げている。

 世界的には、日本の民間宇宙企業インターステラテクノロジズ(Interstellar Technologies)のMOMO2号機が、今年6月30日打ち上げに失敗しているが、引き続き開発を進めている。また、キヤノン電子(Canon Electronics)とIHIエアロスペース(IHI AEROSPACE)などが、小型ロケット打ち上げ事業を推進するスペースワン(Space One)を共同出資で設立している。(c)東方新報/AFPBB News