【7月16日 東方新報】中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)南寧市(Nanning)西郷塘区(Xixiangtang)法院は先ごろ、「学生ローン」金銭貸借契約関連の訴訟案件を多数受理した。「学生ローン」関連の裁判は次々と開廷されているが、自ら進んで訴訟に応じる学生はいないという。

■学生400人が「学生ローン」借りて返さず

 現地の裁判所は2017年末以降、広西のとある金融投資会社の訴えを受理した。これにより、大学生400人が学生ローン契約に関わる訴訟の被告になった。

 担当の黄支革(Huang Zhige)裁判官によると、受理した「学生ローン」訴訟は、一件当たりの貸借金額は約7000元(約12万円)で、貸借契約書の内容を確認したところ、借金の目的は高級スマホを購入するためと記されていた。しかし、スマホを手にした学生らが返済をしないため、返済を求めて訴えられているという。

 学生の所在は、広西チワン族自治区のほか、江西省(%Jiangxi%)、貴州省(Guizhou)、湖南省(Hunan)、湖北省(Hubai)、四川省(Sichuan)、河南省(Henan%%)など中国各地にまたがっている。

 裁判所は貸借契約書に記載されている住所に召喚状を郵送したが、大部分は受け取りを拒否された。裁判所は、最も早く提訴された3人の学生が所属する大学に対しても書簡を郵送し、大学が被告を促し訴訟に応じるよう求めた。しかし、3人の学生は法廷に姿を現さなかった。本日に至るまで、訴訟に応じた学生は一人もいないという。

■省を越えた調停に応じたのはわずか学生3人

 裁判所は、学生たちの利益を守るため、原告と協議を実施。もし被告が一括で元本と訴訟費用を支払うのであれば、原告は金利と手数料、契約で定めた違約金などの訴訟要求を放棄することに同意した。

 担当裁判官と原告は今年の6月初め、貴州省貴陽市(Guiyang)の2か所の大学に赴き、学生約20人に対して借金返済について話し合おうと呼びかけたが、応じた者は一人もいなかった。

 誰も話し合いに応じないため、黄裁判官は改めて大学で教員と相談。教員を通じて裁判官への連絡方法と調停案を被告の大学生に渡してもらうよう依頼し、和解を望む学生が出てくることを期待した。

 この和解提案に応えたのは3人で、一括で借金を返済した。3人は、和解に応じ一括返済をしたのは、就職活動がうまくいき仕事が見つかったためで、借金を返済しないことでせっかく見つけた仕事を失うことを恐れたからだという。しかしこの3人以外は、誰も裁判官と連絡を取っていない。

■「学生ローン」が違法だと主張

 学生の多くは裁判所の召喚状を受け取っても、その真偽について疑っているという。一部の学生は、QQでグループを作って対応策について話し合っているという。黄裁判官によると、借金をした学生の多くは、国は高利貸しや非合法のローン会社を取り締まっており、自分たちが借金している「学生ローン」は非合法であるため返済する必要はまったくないと考えているという。

 黄裁判官は、「国が取り締まっているのは高利貸だ。年利24%を超えない範囲の金銭貸借は違法ではない」と話す。

 もし学生たちがこれ以上返済をせず、訴訟にも応じず、審理に欠席し続ければ、学生たちにとって非常に不利なことになる。ひとたび最終判決が出て学生が敗訴し、それでも金を返さない場合、企業側は強制執行を要求できる。そうなれば、学生はブラックリストに載り、個人の信用記録に汚点が残る。飛行機にも高速鉄道にも乗れず、公務員試験を受けることもできず、会社の設立・登録も制限を受けることとなる」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News