【7月12日 AFP】フランス・パリで11日、「刃が数か所欠けた」150年前のギロチンが規制当局の反対をよそに競売にかけられ、仏実業家で富豪のクリストフ・フェヴリエ(Christophe Fevrier)氏が8008ユーロ(約105万円)で落札した。

 フランスは1981年に死刑制度を廃止しているが、1977年までギロチンによる死刑が執行されていた。

 今回出品されたのは高さ約3メートルのギロチン。仏競売会社ドゥルオ(Drouot)によると19世紀半ばに制作された複製で、かつてパリの拷問博物館で展示品の目玉となっていたものだが、実際の処刑に使われたことはないという。

 しかし、競売規制機関は今回の出品に異議をとなえており、広報担当者は「このギロチンは売るべきではない」と仏大衆紙パリジャン(Le Parisien)に語った。「(ナチスの死の)強制収容所に送られた人々の衣服や、拷問器具といった品は、慎重に扱うべきだ」

 フランスではこれまでにもギロチンの競売がたびたび物議を醸してきた。ドゥルオは2011年にもパリのジャズクラブに飾られていた別のギロチンの競売を行い、22万ユーロ(約2900万円)で落札に至っているが、このときの入札者の中には米ポップ歌手レディー・ガガ(Lady Gaga)さんがいたと報じられている。この競売は破産資産売却の一環で、規制機関に介入する権限がなかった。

 一方、2012年には仏文化省が、仏領時代のアルジェリアで独立運動の闘士ら200人を処刑した「最後の死刑執行人」ことフェルナン・メイソニエ(Fernand Meyssonnier)の遺品812点の競売を中止させている。

 ギロチンは当初、受刑者に長い苦痛を与えると非難されていた絞首刑に代わる「人道的」な刑法として導入されたが、フランス革命期の恐怖政治で1万6000人以上の処刑に使われたことで悪名高い。フランスでは1977年9月、若い女性を虐待・殺害したとして有罪判決を受けたチュニジア人ハミダ・ジャンドゥビ(Hamida Djandoubi)の死刑に使用されたのが最後だった。(c)AFP/Fiachra GIBBONS