【7月12日 AFP】テニスの四大大会(グランドスラム)の一つ、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)で2018年から導入されることが決まっている、ポイント間の制限時間やウオーミングアップ時間を厳密に計測する「ショットクロック」が、他に北米で開催される夏の各大会でも採用されることが決まった。

 ショットクロックは、ポイントが決まってから次のサーブを打つまでの時間を25秒以内に抑え、7分のウオーミングアップ時間を厳守するために使用し、サーブを打つのに時間をかけすぎた選手は遅延行為の違反を取られる。時計はコート上のよく見える場所に置かれ、審判には時計を止める権利が与えられる。

 全米オープンについては、4月の時点で導入が発表されていたが、米国テニス協会(USTA)と男子プロテニス協会(ATP)、そして女子テニス協会(WTA)はこのたび、同大会の前哨戦として位置づけられる今夏の大会から使用することを決めた。

 導入されるのは、シティ・オープン(Citi Open 2018)、ムバダラ・シリコンバレー・クラシック(The 2018 Mubadala Silicon Valley Classic)、ロジャーズ・カップ(Rogers Cup 2018)、ウェスタン&サザンオープン(Western and Southern Open 2018)、コネティカット・オープン(Connecticut Open 2018)、ウィンストンセーラム・オープン(Winston-Salem Open 2018)の6大会。

 ショットクロックについては、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)に出場している男子世界ランク1位のラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が、来年から同大会でも導入されるという25秒のショットクロックに疑問を呈したばかりだった。

 これまでもサーブを打つのが遅いとたびたび警告を受けてきたナダルは、5セットマッチではポイント間に気持ちを落ち着かせ、次の作戦を練る時間が必要だと考えており、「何も考えずにサクサク進む試合を見たいなら、それもいいだろう」と話している。

 グランドスラム優勝12回のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)も、導入にあまり好意的ではない。同選手は錦織圭(Kei Nishikori)に勝利した11日のウィンブルドン準々決勝で、サーブを打つのに時間をかけすぎだとして違反を取られている。

 ジョコビッチは試合後、「ポイント間のショットクロックは好きじゃない」とコメントし、「今年の全米オープンから導入されるというが、選手にはなんの相談もなかった。あまり気持ちの良いことではないし、フェアじゃない。しかし、そういうものなのだろう。受け入れて対応するしかない」と続けた。

 一方でジョコビッチは、ウオーミングアップの時間制限は有効かもしれないと考えている。導入後は、選手は席に到着してから1分以内にコイントスに出てきて、その後5分間のアップに臨み、さらに1分で試合開始に備えることになる。時間をオーバーした選手には罰金が科される。

 ジョコビッチは「ウオーミングアップや、コートに出るまでの時間を定めるのは良いかもしれない。なかなかコートに出てこず、やっと出てきたと思ったら、だらだら座ってドリンクを飲む選手は、誰だって見たくないからね。早くアップを進めてくれとみんな思っているはずだ」と話している。

「しかし同時に、なんというか、ほんの少しでいいから広い心を持ち、テニスという競技や試合のペース、試合の進み方というものを理解してほしいとも思う」 (c)AFP