【7月12日 AFP】ベルギーの首都ブリュッセルで始まった北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で11日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、各加盟国の分担する国防支出を倍増するよう突然要求し、同盟諸国に衝撃を与えている。

 米国と欧州の間では、貿易やエネルギー問題から防衛に至るまでの各分野で緊張が高まっており、今年のNATO首脳会議は近年で最も困難なものとなりつつある。

 NATO加盟国は2014年に英ウェールズで開いた首脳会議で、10年以内に国防支出を国内総生産(GDP)比で2%に高めるとの目標で合意。だが、サラ・サンダース(Sarah Sanders)米大統領報道官によると、トランプ氏は11日の首脳会議で、これを4%に引き上げるよう提案した。

 ブルガリアのルメン・ラデフ(Rumen Radev)大統領も、トランプ大統領からこの要求があったことを認めた上で、これが70年にわたり欧州安全保障の基盤となっているNATOの将来にどのような意味を持つのかという疑問を投げかけた。ラデフ氏は記者会見で「NATOはセキュリティー(「安全保障」のほかに「証券」という意味も)が買える株式取引所ではない。NATOは主権国が戦略的目標と共通の価値観により団結する同盟だ」と述べた。

 トランプ大統領も含むNATO加盟29か国の首脳が出した共同声明は、「負担共有」の増加を約束し、また一加盟国への攻撃は全加盟国への攻撃だとするNATO発足時の誓約を確認する内容となったが、トランプ氏が提案した4%の負担率には言及していない。(c)AFP/Damon WAKE