【7月11日 AFP】11日にルジニキ・スタジアム(Luzhniki Stadium)で行われるサッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)準決勝では、若手をそろえたイングランド代表とベテラン中心のクロアチア代表が激突する。

 イングランドは今大会で準決勝に駒を進めるまで、W杯の舞台では28年間もベスト4に到達できず、決勝には自国開催で優勝を果たした1966年大会を最後に届いていない。

 対するクロアチアは、W杯決勝に進出した実績はないものの、1998年フランス大会での最高成績に並んだ今、多くのタレントを擁する年代がサッカー界最大のタイトル獲得のチャンスを迎える絶好のめぐり合わせとなった。

 そこでAFPは、試合の行方を左右するであろうクロアチアとイングランドの3つのマッチアップに注目した。

――ジョーダン・ヘンダーソン(Jordan Henderson、イングランド)対ルカ・モドリッチ(Luka Modric、クロアチア)

 リバプール(Liverpool FC)所属のヘンダーソンは、欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2017-18)決勝で優勝を逃してから約6週間後、レアル・マドリード(Real Madrid)所属のルカ・モドリッチ(Luka Modric)に対するリベンジの機会を手にし、さらには自身が出場した代表戦30試合無敗という同国歴代最長記録の偉業を更新しようとしている。

 ギャレス・サウスゲイト(Gareth Southgate)監督率いるチームの中盤の最後列でヘンダーソンがみせるリーダーシップと配球は、ジェシー・リンガード(Jesse Lingard)とデレ・アリ(Dele Alli)を前線に飛び出させ、得点を挙げるためのカギになっている。

 しかし、今度の試合でヘンダーソンは、クロアチアの中盤に君臨するモドリッチという最大の難関に立ち向かう。現在32歳でキャリアの全盛期を迎えているモドリッチは、パスで守備を切り裂き、得点を記録し、そして試合のリズムをあやつるなど、今大会で出場した4試合中3試合でマンオブザマッチに輝く活躍を見せている。

 モドリッチはレアルで欧州チャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げており、クロアチアを優勝に導けば、バロンドール(Ballon d'Or)最有力候補の呼び声も高い。

――ハリー・ケイン(Harry Kane、イングランド)対デヤン・ロブレン(Dejan Lovren、クロアチア)

 大会得点王争いでトップに立つケインと対峙(たいじ)することは、ロブレンにとって嫌な記憶をよみがえらせるかもしれない。イングランド・プレミアリーグのリバプールでプレーするロブレンは、昨年10月に行われたトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)のリーグ戦でケインに翻弄(ほんろう)され、前半途中で交代させられた。

 多くの人々は、この試合がロブレンにとってリバプールでの選手生活を終わらせるものになったと信じさせた。しかし、そこからユルゲン・クロップ(Jurgen Klopp)の信頼を再び勝ち取ると、グループリーグではクロアチアの守備陣を統率し、リオネル・メッシ(Lionel Messi)を擁するアルゼンチン代表を沈黙させた。

 ケインはロブレンとの計5回の対戦で5得点を記録しており、今大会の得点王獲得に向けてさらなるゴールを狙う。

――キーラン・トリッピアー(Kieran Trippier、イングランド)対イバン・ペリシッチ(Ivan Perisic、クロアチア)

 トリッピアーは今大会で株を上げた選手の一人に挙げられる。クロスの質が元イングランド主将デビッド・ベッカム(David Beckham)氏に似ていることで知られるトリッピアーは、ここまでブラジル代表のネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)やベルギー代表のケビン・デ・ブルイネ(Kevin de Bruyne)と作り出したチャンスの数で争っている。

 サウスゲイト監督が採用する3-5-2のシステムで、本来は右サイドバックのカイル・ウォーカー(Kyle Walker)が3バックの一角に配置されることで、トリッピアーはすべてのチャンスで前に出ることが可能になっている。しかし、ペリシッチとの対戦では自身の守備力が試されることになるだろう。

 イタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)でプレーするペリシッチは、最近出場した主要国際大会での代表戦11試合で5得点を稼ぎ出しており、クロアチアの攻撃陣の中では、イングランド守備陣を足でかき回すことができる唯一の存在となっている。(c)AFP/Kieran CANNING