【7月9日 AFP】ブラジルの控訴裁判所で8日、収賄罪で禁錮12年の有罪判決を受け収監中のルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)元大統領(72)の釈放を判事が命じたが、数時間後に別の判事がこの命令を阻止する決定を下した。

 左派のルラ氏は収監中の身でありながら、今も国民に高い人気を誇っている。10月に予定されているブラジル大統領選に関する世論調査では首位を維持しており、本人も出馬の意向を取り下げていない。

 南部ポルトアレグレ(Porto Alegre)の控訴裁において8日、ルラ氏の収監は違法だとして出身母体の労働党(PT)の議員らが6日に申し立てた人身保護請求をめぐり、判事の決定が短時間のうちに覆った。

 ロジェリオ・ファブレト(Rogerio Favreto)判事は請求を認めてルラ氏の釈放を命じたが、その直後、昨年ルラ氏に有罪判決を下したセルジオ・モロ(Sergio Moro)判事がファブレト判事に釈放を命じる権限はないと主張。

 そしてファブレト判事の釈放命令から数時間後、ペドロ・ゲブラン・ネト(Pedro Gebran Neto)判事が南部クリチバ(Curitiba)の拘置施設の警察官らに対し、ルラ氏の収監を継続するよう命じた。

 だが、ファブレト判事は自分の最初の命令は有効であると主張し、1時間以内にルラ氏を釈放するよう改めて命令。この期限が過ぎた8日午後6時半(日本時間9日午前6時半)になってもルラ氏は収監されたままだったが、裁判所前には横断幕やプラカードを掲げた1000人以上の支持者が詰め掛け、ブラジル国旗を振りながらルラ氏の釈放を求めた。

 最終的にポルトアレグレ控訴裁のカルロス・エドゥアルド・トンプソン・フローレス(Carlos Eduardo Thompson Flores)長官により、ルラ氏の収監継続が決定した。(c)AFP/Louis GENOT