【7月8日 AFP】フィリピンの首都マニラ南郊のトレセマーティレス(Trece Martires)で7日、アレクサンデル・ルビガン(Alexander Lubigan)副市長が何者かに射殺される事件があり、8日現在、警察が捜査を行っている。同国で自治体首長らが銃撃で殺害されるのは、ここ1週間足らずで3件目。

 同国では今月2日、マニラ近郊のタナウアン(Tanauan)でアントニオ・ハリリ(Antonio Halili)市長が式典の出席中に射殺され、その翌日には同国北部ジェネラルティニオ(General Tinio)でフェルディナンド・ボテ(Ferdinand Bote)町長がオートバイに乗った人物によって射殺されている。

 警察は一連の襲撃事件とルビガン氏殺害との関連は不明としているが、人権団体はロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が推し進める麻薬撲滅戦争が襲撃犯を大胆にさせていると危惧する。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)フィリピン支部のウィルノー・パパ(Wilnor Papa)氏はAFPに対し、同国において政治絡みの暴力は目新しいものではないと指摘。その上で、ドゥテルテ大統領が一般市民に麻薬密売者の殺害を奨励し、麻薬撲滅戦争の遂行によって訴えられた当局者を擁護すると公言していることを例に挙げ、政権が自警団による殺害行為を活発化させていると説明する。

 2日に殺害されたハリリ氏はドゥテルテ大統領が公開した麻薬取引関与が疑われる当局者リストに氏名が記載されていたが、ボテ氏とルビガン氏はドゥテルテ大統領派に属しており、2人とも麻薬との関連は確認されておらず、殺害動機はまだ分かっていない。(c)AFP