【7月13日 AFP】テニスの四大大会(グランドスラム)、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)で、コートからハトを追い出す仕事をしているタカのルーファス(Rufus)。ところが、ウィンブルドンで屋根付きのコートが増える2019年以降は、ルーファスの仕事が倍増するのではと心配されている。

 ルーファスは10年近くにわたってハトを追い立てる役割を担ってきたが、ウィンブルドンでは来年から収容人数1万1000人のコート1にも屋根が付く。そこで鷹匠(たかじょう)のイモージェン・デービス(Imogen Davies)さんは、ルーファスにはセンターコートを担当してもらい、相棒となる新しいタカにコート1を任せようと考えている。

 来年からオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)に放たれ、コート1が羽まみれにならないよう見張るのは、頼れる若いタカのポラックス(Pollux)。ポラックスは2016年からルーファスの後輩となり、すでに普段のパトロールは一緒にこなしている。

 デービスさんは、「ルーファスは閉じた区画で仕事をするのに慣れていません。屋根付きのコートではハトの止まる場所が多くあるから、ルーファスの狩場はかなり広がることになります。これまではあの区画を完璧に熟知していましたが、今後はいろいろな隙間にハトが隠れる可能性が出てきます」と話す。

「仕事が倍増するようなものです。だから来年になって屋根が完成したら、こちらも2羽体制でいくことを検討しています。彼には同僚がいます。ウィンブルドンでの1番手はルーファスですが、来年からはコート1を別の若いタカに任せようと考えています」

 ルーファスの勤務時間は朝の5時から9時と、一般客が入ってくる前の割合に涼しい時間だ。入場許可の方もぬかりなく(ただ飛んで入ってくれば済む話だが)、「鳥追い」と職種の書かれた写真付きのパスを支給されている。

 仕事ぶりは今年も素晴らしく、隣のゴルフコースまでハトたちを追い立てて行き、センターコートをきれいにした。ウィンブルドン以外には、ロンドンのウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)やサッカークラブのフラム(Fulham)、ラグビークラブのノーサンプトン・セインツ(Northampton Saints)での仕事が知られている。

 翼を広げた長さが1メートルになるハリスホーク種のルーファスは、現在11歳で、ウィンブルドンでは生後16週から働いている。大会開催中は毎日飛ぶが、残りの50週は、周囲に目を光らせるのは週に1回だという。

「ルーファスは素敵な人生を送っていますよ。飛び回り、好きなことをして、思い通りに生き、私のところへ戻ってきて高たんぱくのウズラやニワトリを食べ、すごく暑い日は午後に水浴びをしてリラックスする。私はこの子のことが大好きです。相思相愛かは分からないけれど!」 (c)AFP/Robin MILLARD