【7月8日 AFP】シリア南部ダルアー(Daraa)県を拠点とする反体制派が同県の全市町村をシリア政府側に引き渡す停戦案に双方が合意したことを受け、7日、多くの避難民が帰宅を開始した。

 イスラエルが占領するゴラン高原(Golan Heights)とヨルダンに隣接する南部の反体制派掌握地域ではここ2週間以上にわたり、ロシアの支援を受けたシリア政府軍による大規模な攻勢が続いていた。

 国連(UN)によると、政府軍が6月19日に開始したダルアー県での軍事作戦により32万人以上が避難を余儀なくされ、うち数万人は対ヨルダン国境まで逃れた。

 英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、停戦協定の成立によってダルアー県に落ち着きが広がり、同監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は「昨日から人々が帰宅を始めている」と語った。

 ラフマン代表によると「2万8000人を超える避難民」が13の村などに帰還したものの、ダルアー県に対する政府軍による爆撃で民間人150人以上が死亡し、政府に対する避難民らの不信感は高まっているという。

 停戦合意後もオサマ・ホムシ(Osama al-Homsi)さん(26)は、故郷のダルアー県ジーザ(Jeeza)への帰還をためらっているという。

 政府軍の攻撃を逃れ、ダルアー市南部に避難しているホムシさんは「もちろん戦闘や流血沙汰を止める合意は支持している」「でも、恐れているのは国連の保証がないことだ。ロシアとシリア政権は安全を与えてはくれない」と語った。(c)AFP/Mohamad Abazeed with Alice Hackman in Beirut