【7月14日 AFP】米ニューヨークの街並みに溶け込み、大勢の人々が知らず知らずのうちに頼っている物──それは、建物の屋上に設置されているレトロな木製の給水タンクだ。

 ニューヨークでは6階建て以上の建物は屋上にタンクを設置し、上階用の水をポンプでくみ上げてためておかなければならない。市の水道設備には、その高さまで水を押し上げるだけの水圧がないためだ。いったん屋上にくみ上げてしまえば、水圧の代わりに重力で下の階に給水できる。

 マンハッタンのアッパーイーストサイド(Upper East Side)にある高級ビルの屋上では、イセックス・ブラザーズ(Isseks Brothers)の職人たちが新しいタンクに置き換える作業をしていた。米国で最も人口が多いニューヨークには約1万個のタンクが設置されているが、この街の屋上タンク市場は同社を含む3社の寡占状態になっている。

 防火水槽の役目も兼ねている木製給水タンクには、他の素材製のものに勝る数多くの利点がある。

 まずは価格が比較的手頃であること。3万5000~10万ドル(約390万~1100万円)という価格は、グラスファイバー製や鋼鉄製の2分の1~3分の1ほどだ。次に設置時間。ほかの素材製のものは少なくとも1週間かかるのに対し、木製タンクは1日しかかからない。(c)AFP/Thomas URBAIN