【7月7日 AFP】フランスで優れた有機ワインを生産しているにもかかわらず、収入が少ないなどとして現地当局から強制退去命令を受けていた日本人ショウジ・ヒロフミ(Hirofumi Shoji)さんと妻リエ(Rie Shoji)さん夫妻が、少なくとも3か月の滞在延長を認められたことが分かった。弁護士が5日、明らかにした。滞在延長を求めて署名した人は約5万3400人に上っていた。

 渡仏してワイン生産を学んだヒロフミさんとリエさんは、2016年に南仏ルシヨン(Roussillon)のバニュルスシュルメール(Banyuls-sur-Mer)でオーガニックワインの製造を始めた。2017年に初めて醸造したワインは、レストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で三つ星を獲得したスペイン・ジローナ(Girona)の「エル・セレール・デ・カン・ロカ(El Celler de Can Roca)」をはじめとする高級レストランでも提供されるなど高い評価を得ていた。

 しかし当局は今年4月、夫妻の月収が事業継続が可能とみなされる下限の2000ユーロ(約26万円)に満たないとして国外退去命令を下した。

 ルシヨンの中心都市ペルピニャン(Perpignan)のワイン見本市を主催するジャン・レリティエ(Jean L'Heritier)氏は地元紙ランデパンダン(L'Independant)で、夫妻の事業は「本物の成功例」だとして支持を表明。「彼らが退去してしまったらわれわれ全員にとって大変な損失だ」と述べた。

 夫妻の弁護士は5日、AFPに対し、ピレネー・オリアンタル(Pyrenees-Orientales)県当局が夫妻に少なくとも3か月の滞在延長を許可したと述べた。また同県当局は夫妻の財務情報についてより詳しい情報を得るため、夫妻の行政的情報の再調査を決めたと明らかにした。

 弁護士によると、夫妻は5日に地元当局と「極めて丁寧」な話し合いを行った。なぜフランスのワインや文化が好きなのか尋ねられたヒロフミさんは「東京で(有名フランス人シェフの)アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏の下で働いたからだ」と答えていたという。(c)AFP