【7月5日 AFP】女性の自動車運転が数十年ぶりに解禁されてまだ1週間あまりのサウジアラビアで、女性の車が放火される事件があり、警察が犯人を捜索している。

 聖地メッカ(Mecca)近郊に住むサルマ・シェリフ(Salma al-Sherif)さん(31)は、所有する車が今週、「女性が車を運転することに反対する」男たちによって故意に燃やされたと地元メディアに語った。

 メッカの警察当局は3日夜、地元政府を通じて「治安当局が事件を捜査している」との声明を発表した。

 レジ係として働いているシェリフさんは、「給料4000リヤル(約11万8000円)の半分が、私の通勤と年老いた両親の移動のために雇った運転手への支払いに消えていた」と説明。自分が運転すれば経済的に楽になると考えたが、「車の運転を始めた初日から」近所の男性たちの嫌がらせを受けるようになったと政府寄りの地元紙オカズ(Okaz)に話した。

 ソーシャルメディアにはシェリフさんを支援するサウジアラビア国民からのメッセージがあふれ、炎上するシェリフさんの車の写真を共有したり「テロ行為だ」と放火を非難したりする投稿も多い。

 一方で、女性ドライバーに対する性差別的なコメントもソーシャルメディア上には噴出している。先月24日の運転解禁後も、多くの女性が超保守派の反発を恐れて運転を控え、ムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子が推進する近代化と保守主義のはざまで揺れる社会の反応をうかがっているのが現状だ。(c)AFP