【7月4日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)に出場している世界ランキング1位のラファエル・ナダル(Rafael Nadal)が、四大大会(グランドスラム)で導入が近づくショットクロックについて、ビジネス面のことだけを考えた決定だと疑問を呈している。

 グランドスラムでは、この後の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)で、ポイントが決まってから次のサーブを打つまでの時間を25秒以内に定めるショットクロックが導入されることが決まっており、ウィンブルドンもこれに追随しようとしている。こうした動きを受け、これまでもサーブを打つまでが遅いとたびたび警告を受けてきたナダルは、5セットマッチではポイント間に気持ちを落ち着かせ、次の作戦を練る時間が必要だと考えている。

「何も考えずにサクサク進む試合を見たいなら、それもいいだろう。しかし、もっと考える必要のあるスポーツや、選手がしっかり作戦を立ててプレーし、見ごたえのある長いラリーが続く試合が見たいなら、もちろん間違った方向性だ」

「ビジネスの面だけを考えたもののようにも思える。僕としては支持できない。このスポーツの歴史に長く刻まれている試合の中に、あっさり決まったものはないと感じるからだ」

 グランドスラム通算17勝を誇るナダルは、その過程で長丁場の激闘を何度か経験している。ウィンブルドン初優勝を果たしたロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)との2008年の決勝は、5時間近くに及び、終了時にはあたりが薄暗くなっていた。5時間53分続いた2012年のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)との全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2012)決勝は、グランドスラムの決勝では史上最長試合となった。

「合計2時間の感動的な試合というのは、なかなか思い出せない。テニスの歴史のなかで重要な位置を占める試合は、どれも4時間か5時間続いている。そういった試合では、ポイント間に頭を働かせることが欠かせない。25秒しかなかったら、立て続けに長いラリーを打って、その末に感動的なポイントが生まれることは難しいだろう」

 とはいえ、オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)はすでに導入へ動いている。大会の最高経営責任者(CEO)を務めるリチャード・ルイス(Richard Lewis)氏は、「試合の開始と終了をスピードアップさせなくてはならないというのは、われわれの総意だ。ショットクロックはルールの変更ではなく、一つの可視化だ」と話している。

 この日1回戦に臨んだナダルは、6-3、6-3、6-2のストレートでランキング127位のデュディ・セラ(Dudi Sela、イスラエル)を下し、マラソンマッチに持ち込まれる不安を感じることなく勝利を収めた。

 自身11回目の全仏オープンテニス(French Open)制覇を果たした後、芝での前哨戦にはまったく出場せずにウィンブルドンに臨んだナダルだが、感覚が鈍っている様子は見せなかった。ウィンブルドンでは直近5大会中4大会でランキング100位外の選手に敗れて大会を去っているが、同じ過ちは犯さなかった。

 決勝に勝ち進んだ2011年大会以来となる4回戦突破を目指すナダルは、2回戦でミハイル・ククシキン(Mikhail Kukushkin、カザフスタン)と対戦する。(c)AFP/Dave JAMES