【7月1日 AFP】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)は30日、決勝トーナメント1回戦が行われ、キリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)が2得点を挙げるなど3点に絡み、攻撃の形をついに見いだしたフランスは、リオネル・メッシ(Lionel Messi)を擁するアルゼンチンに4-3で勝利し、準々決勝進出を果たした。

 メッシが不調にあえぐアルゼンチンの望みに再び火をともすとされた一戦は、フランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)に所属する19歳エムバペが、1958年大会のペレ(Pele)氏以降では最年少でW杯1試合2得点を記録して主役の座を奪い、フランスがスリリングな打ち合いを制した。

 窮地に立たされていたアルゼンチンのホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督は、試合前に「アグレッシブな攻撃的アプローチ」を約束していたが、エムバペの脅威的なスピードに対する恐怖が序盤で現実のものになった。

 自陣からドリブルでボールを運んだエムバペは、次々と相手をかわして最後はペナルティーエリア内でアルゼンチンのDFマルコス・ロホ(Marcos Rojo)にファウルで倒されると、このPKをアントワーヌ・グリーズマン(Antoine Griezmann)が決めてフランスが前半13分に先制した。フランスがW杯で先制して逆転負けを喫したのは、1982年大会のポーランド戦までさかのぼる。

 先制後にフランスは試合をコントロールしていたかに見えたが、ハーフタイム直前に状況は劇的に一変。左サイドのクリスティアン・パボン(Cristian Pavon)からノーマークでボールを受けたアルゼンチンのアンヘル・ファビアン・ディ・マリア(Angel Fabian Di Maria)は、ゴールまで約23メートルの距離から左足を一閃(いっせん)し、シュートはフランスの守護神ウーゴ・ロリス(Hugo Lloris)の指先をかすめてゴール右隅に突き刺さった。

 グループリーグでの低調なパフォーマンスで批判されていた一人のディ・マリアは、さらにアルゼンチンの2点目のきっかけとなったFKを獲得して名誉を挽回した。

 アルゼンチンは左サイドでターンしたディ・マリアがベンジャミン・パヴァール(Benjamin Pavard)からファウルを受けてFKを獲得。エベル・バネガ(Ever Banega)が蹴ったボールをフランスのポール・ポグバ(Paul Pogba)がクリアしたボールはメッシの足元に。メッシのシュートはガブリエル・メルカド(Gabriel Mercado)に当たってフランスのゴールに吸い込まれ、アルゼンチンはこの試合初めてリードを奪った。

 しかしその数分後にフランスは、パヴァールがディ・マリアに匹敵するスーパーゴールを決めて追いつく。パヴァールが放ったハーフボレーは相手GKフランコ・アルマーニ(Franco Armani)のなすすべなくゴールに吸い込まれた。

 後半19分にブレーズ・マテュイディ(Blaise Matuidi)のシュートのこぼれ玉を拾って逆転ゴールを挙げたエムバペは、さらにその4分後にカウンターからオリヴィエ・ジルー(Olivier Giroud)の完璧なパスに抜け出すと、低い弾道のシュートをゴールに突き刺してフランスのベンチは歓喜に包まれた。

 アルゼンチンはアディショナルタイム、メッシの完璧なロングパスからセルヒオ・アグエロ(Sergio Aguero)がヘディングシュートを決めて一矢報いたが、勝敗はすでにエムバペによって決していた。(c)AFP/Justin DAVIS