【6月30日 AFP】リビア沖の地中海で29日、欧州を目指す移民を乗せたゴムボートが転覆し、赤ん坊3人が死亡、約100人が行方不明となっている。

 リビアの首都トリポリの東に位置するアルフミディヤ(Al-Hmidiya)で保護された生存者らによると、事故が起きた時、ゴムボートには約120人が乗っていた。

 救助されたのはわずか16人で、行方不明者の中には赤ん坊2人と12歳未満の子ども3人が含まれている。

 救助された生存者らがAFPに語ったところによると、トリポリ近郊の海岸から未明に出発した後、ボートで爆発が起き、その後エンジンから火が出て沈み始めた。ボートにはモロッコ人やシリア人やスーダン人が乗っていたという。

 生存者の一人でイエメン出身の男性(26)は、「ボートに乗っている人数を見て乗るのを拒んだ。(乗るのは)20人だと聞かされていたからだ」と述べた。密航業者らに銃で脅され、全長わずか8メートルのボートに無理やり乗せられたと、男性はあざのできた両腕を見せながら語った。

 今回の事故が起きたのは、欧州連合(EU)の首脳会合が29日未明、移民・難民の受け入れについて公平な分担を目指す政策で合意に達した直後だった。

 合意には、欧州域内に難民の申請手続きを行うセンターを設置する計画が含まれているが、フランスとオーストリアが自国内の設置を拒否するなどすでに亀裂が生じている。

 さらに合意には、移民らによる危険な航海を抑制するため、欧州域外における「入国プラットフォーム」の設置を検討することも含まれている。

 しかし、リビアの元国軍将校で実力者のハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)氏が率いる軍事組織は29日、移民阻止を名目に外国軍がリビア南部に駐留することを拒否すると表明した。(c)AFP/Imed Lamloum