【6月30日 AFP】国連(UN)機関である国際移住機関(IOM)の事務局長選挙が29日実施され、ポルトガルの政治家アントニオ・ビトリーノ(Antonio Vitorino)氏(61)が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の推薦する候補者を破り選出された。同機関トップに米国以外の人物が就任するのは約50年ぶり。

 IOMでは67年前の設立以降、1961~69年を除くすべての期間で事務局長に米国人が就任していた。だが、トランプ大統領の推薦候補で米キリスト教系支援団体「サマリタンズ・パース(Samaritan's Purse)」の役員であるケン・アイザックス(Ken Isaacs)氏は、イスラム教に対する偏見があるとの深刻な疑いが浮上し、支持を得られなかった。

 選挙では、アイザックス氏の落選が決定した後、3人目の候補者であるローラ・トンプソン(Laura Thompson)現IOM副事務局長が当選の見込みが低いとして辞退。ビトリーノ氏の選出が拍手をもって承認された。

 ビトリーノ氏は、「移民政策に関してとりわけ重大な岐路」に立たされている中でIOMを率いることは光栄だと語った。(c)AFP/Ben Simon