【6月29日 AFP】ロシア軍は28日、シリア南部の反体制派地域に空爆を実施し、少なくとも民間人25人が死亡した。ロシアが支援しているシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権軍は同地域に対し、1週間以上にわたってロケット弾やたる爆弾を使った攻撃を続けている。

 英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は、使用された航空機や弾薬類、飛行パターンからロシアによるものと特定された数十回の空爆によって民間人25人が死亡したと明らかにした。ロシアが攻撃を行ったのか別の情報源では確認されていない。ロシア政府も民間人を標的にしたとは認めていない。

 同NGOのラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は「6月19日に攻撃が激化して以来、最大の犠牲者数だ」と述べた。犠牲者のうち17人は地下に避難していた人々で、子ども5人が含まれるという。その他の5人は、南部ダルアー(Daraa)県の別の反体制派地域で死亡した。

 シリア人権監視団によると、6月19日以降に犠牲となった民間人は96人に達している。また、都市部への攻撃が増加しているという。ダルアー出身のアナリスト、アフマド・アバザイド(Ahmad Abazeid)氏は「攻撃はあらゆる人を殺害し、人々を一斉に追い出すことが狙いだ」と指摘。「政権とロシアは住民や避難民が数多く暮らす地域に攻撃の焦点を合わせ、多数の犠牲者を生み、それらの地域を降伏や調停に応じるよう追い込んでいる」と述べた。

 国連(UN)はシリア南部で75万人以上が危険にさらされているとしている。すでに5万人以上が避難し、その大半が封鎖されているヨルダンとの国境に向かっている。27日には国連安全保障理事会(UN Security Council)で英国、フランス、米国がシリア南部の戦闘で果たしている役割についてロシアを非難した。(c)AFP/Tony Gamal-Gabriel