【6月30日 東方新報】中国記録を更新する100メートル9秒97を叩き出した、謝震業(Xie Zhenye)。東アジア最速の陸上選手として、次なる目標はフェミ・オグノデ(Femi Ogunode、カタール)の持つ9秒91のアジア記録の更新に大きな期待が寄せられている。

 仏のモントレイユ(Montreuil)で19日に行われた陸上大会の男子100メートル。大会は、コモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games、英連邦競技大会)の優勝者で、コース中央を走る南アフリカのアカニ・シンビネ(Akani Simbine)に注目が集まったが、スタートからトップに出た第一コースの謝はスピードを落とすことなく、シンビネを含むすべての選手を振り切り、9秒97の驚くべき記録で優勝を収めた。

 試合後のリプレイ映像では謝だけが突出した速さで、モニターの映像範囲内に映りこんでおらず、カメラマンの多くが撮影チャンスを逃したほどだ。

 衝撃的な成績を収めた謝は、現地メディアからの注目も集めた。謝は、「率直に自分でも驚いている。これからも努力を続け、良い成績を残していきたい」とコメントしている。

 謝にとって10秒を切ることは、すでに珍しいことではなかった。今年の米国とスペインの国際大会で9秒91、9秒93という2度の10秒超えの記録を出したものの、追い風2メートル以上の参考記録となった。そして今回ついに、正真正銘の新記録として認められたのだ。

■次の目標はアジア記録の更新

 謝の9秒97の成績は、日本の桐生祥秀(Yoshihide Kiryu)が昨年記録した9秒98の東アジア最速記録を更新した。次なる目標は、9秒91のアジア記録なのだろうか。

 1993年生まれの謝の潜在能力は、とどまることを知らない。2010年のユース五輪から始まり、謝はまさにそのスピードを一段ずつ加速していった。14年の第17回アジア競技大会(17th Asian Games、Asiad)、15年の第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)などで目覚ましい成績を収め、中国国内ではすでに敵なし。三つの金メダルを胸に王者の道を歩み始めている。

 アジア記録は、2015年に武漢(Wuhan)でナイジェリア出身でカタール国籍のフェミ・オグノデが出した9秒91。現在の謝の成績から見れば、この記録への挑戦は難しいところだろう。また、謝はほかのライバル選手たちと比べ10秒台を切る記録が少ない。しかし、年齢的に謝はまだ若い。今後、安定した記録をコンスタントに出し続けていくことができれば、中国男子100メートルもまた新たな歴史を迎えることになるだろう。(c)東方新報/AFPBB News