【6月28日 東方新報】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)が世界中で盛り上がりを見せている今、中国の冗談でよく耳にするのは「美中不足」だ。

 中国の成語の一つで、物事がほぼ完ぺきなのに、肝心なところが抜けてしまっている様子を表している。今回のW杯は、「美中」に米国(中国語では「美国」)と中国をかけて、「W杯に出場していない(不足)」というのだ。中国のサッカーファンは「中国のサッカーチームがW杯に出場できるまで、あとどれだけ待たねばならないのか」と嘆く。

■目標は決して遠くない?

 サッカー解説者の金汕(Jin Shan)さんは、「中国チームのW杯出場は確実に近づいている」と話す。「2006年のW杯ドイツ大会はアジア予選で8強、香港相手に1点差で負け。2010年の同南ア大会ではグループ予選敗退、2014年の同ブラジル大会はまた予選敗退で10強に進めず。今回は12強には進んだが、最終的にはわずか1試合の差で出場を逃した」

 単純に、今回のサッカーW杯には、わずか1試合の差で出場ができなかった、と言ってしまってよいのだろうか?……中国のサッカー文化と、サッカーの実力不足に原因があるのではないか。

■国民的基礎…W杯への鍵

 パナマ戦とチュニジア戦で勝利を収めたベルギーのおう盛な闘志と流れるようなリズム感は、サッカーファンを魅了した。ベルギー勝利の秘けつは、強大な国民的基礎にある。

 西欧の小国ベルギーは、面積は3万平方キロ、人口は1100万人。この狭い国土に、2000超のサッカークラブがひしめき、四つの等級に分かれて全国リーグを戦っている。

 レベルが高い順に、1部リーグ(16チーム)、2部リーグ(18チーム)、3部リーグ(36チーム)、4部リーグ(64チーム)あり、3部と4部はさらにグループが細分化されている。

 これに加え、州レベルのリーグが九つある。試合日程はフルシーズンで休みなしに詰まっており、チームと選手らはこれらのリーグ戦の中で戦術レベルを高め、豊富な試合経験を積むことができる。

 ブリュッセル自由大学(Free University of Brussels)の張蕾(Zhang Lei)研究員は、フランデレン地域の(Flandre)リンブルク州(Limburg)での状況を紹介してもらった。

 同州の人口1万人にも満たない村に、あるアマチュアサッカークラブある。コーチ15人と助手5人。選手160人は村の住民で、多くは5歳から18歳まで。平日の放課後などの時間にトレーニングを行い、週末になるとほかのクラブと試合を行う。

 人あたり年間200ユーロ(約2万5600円)の会費を支払い、コーチへの謝礼や施設の維持費などにあてる。選手には、サッカーボール、ユニフォーム、バッグなどが支給され、成績優秀な選手は、レベルの高いサッカークラブへ昇級し、全国リーグへ参加する機会を手にするチャンスもあるという。

 こうした「物語」は、中国のサッカーファンに、はっきりと教えてくれている。サッカーの喜びや満足感を持続させるためには、我々の村や町にもっと多くのサッカー場を作り、もっとたくさんの子どもたちがサッカー場を走り回ってサッカーの喜びを感じ取れるように、親たちやコーチが手を差し伸べることが必要なのだと。(c)東方新報/AFPBB News