【6月28日 AFP】決勝トーナメント進出が懸かった27日のサッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)のスウェーデン戦で完敗が濃厚となり、一時は深い悲しみに包まれていたメキシコ代表のファン――。しかし、時を同じくして韓国がドイツを撃破し、母国の16強入りが決まると一転、歓喜の渦に包まれた。

 大会初戦でドイツから金星を奪うと、続く韓国戦にも勝利し、楽観的な声に包まれていたメキシコ代表だが、グループ最終戦となったこの日のスウェーデン戦では先に得点を許し、母国のファンもびくびくしながら試合を見つめた。

 エカテリンブルク・アリーナ(Yekaterinburg Arena)で行われた一戦は刻々と試合終了の時が迫り、スコアボードが0-3を示した時には、韓国がドイツ相手に何とかして黒星を逃れない限り、メキシコの敗退は時間の問題かに思われた。

 ドイツが韓国を下した場合は勝ち点で3か国が並び、得失点差でメキシコの敗退が決まる状況の中、すべての注目は同時刻にカザニ(Kazan)で行われていた韓国対ドイツの一戦に集まり、メキシコのサポーターは韓国を応援した。

 迎えた後半ロスタイム、韓国が2点を奪って前回王者ドイツを破り、メキシコのベスト16進出が決まると、同国の首都メキシコ市に集まったファンは「韓国!韓国!」と叫びながら飛び跳ね、抱擁を交わした。

 一部のファンは同市にある韓国大使館に押し寄せ、韓国は「われらの兄弟」と叫ぶ中、劇的な結末をテキーラで祝った22歳の学生は「泣いていたのに笑顔に変わった」「ありがとう、韓国。韓国がどこにあるのかも知らないけど、ありがとう、ありがとう」と語った。(c)AFP/Maria Lorente