【6月25日 CNS】ビジネスに特化したSNSプラットフォームの米リンクトイン(LinkedIn)の「中国帰国人材吸引力報告」によると、海外留学から帰国する中国人学生は、2011年から17年の間で年々増加傾向にあるという。北京市(Beijing)でこのほど開かれた海外人材戦略に関連したフォーラム上で発表された。

 年齢別では、長らく帰国者の中心世代だった20代が、帰国者全体の79.7%(13年)から52.2%(17年)まで下降した。

 その反面、30代の帰国者の比率が16.5%(13年)から30.6%(17年)まで伸び、特に15年以降、高学歴で職務経験のある帰国者の比率が顕著となった。この世代の多くが海外勤務を長く経験していることから、帰国後に企業の高職位や重要な役割を担う業務などに抜てきされている。

 帰国者が就職するのに興味がある都市は、上海(Shanghai)、北京、深セン(Shenzhen)、広州(Guangzhou)各市の四大主要都市で、沿岸地区の杭州(Hangzhou)、南京(Nanjing)、蘇州(Suzhou)各市などが追従する。

 中西部地区では、近年に急速な発展を見せている成都市(Chengdu)の人気が高く、沿岸地域の一部都市の人気を上回る。

 だが注目すべき点は、すでに帰国して中国内で就職した人材が選ぶ都市だ。

 近年、上海や北京で就職する人の割合が明らかに下降しており、杭州や成都などに代表される発展著しい新興都市での就職率が年々上昇していることだ。

 同報告では、中国各都市の発展の均衡が徐々に保たれ、就業機会や生活水準も大差が無くなったことで、海外在住者の帰国の足取りをさらに加速させたと分析している。

 帰国後に就職する業界の中では、金融とテクノロジー系が一、二を争う。この傾向は年々顕著に現れており、長らく上位だった製造業は、ハイテクノロジー業界に取って代わられるところまで来ている。

 現段階ではハイテク業界と製造業界の差こそ大きくないものの、中国のテクノロジー企業の海外進出などニュースが常に入るようになり、クラウドコンピューティングや人工知能、ブロックチェーンなどのハイテク分野に注目が集まることで、製造業界との差はさらに広がる傾向だと言われている。また、コンピューター科学を専攻する帰国学生の数は2倍以上に増えた。

 同報告は、中国のハイテクやIT業界が、コンピューター技術の専門人材に対して強い魅力を与えていると分析している。(c)CNS/JCM/AFPBB News