【6月24日 AFP】米ホワイトハウス(White House)のサラ・サンダース(Sarah Sanders)氏がバージニア州のレストランを食事に訪れたところ、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の報道官だという理由で退店を求められる出来事があった。以降、このレストランのレビューサイトには同店の行為の支持派と批判派双方の書き込みであふれている。

 このレストランはバージニア州レキシントン(Lexington)にある「レッド・ヘン(Red Hen)」。この店のウエーターだという男性がフェイスブック(Facebook)で22日、サンダース氏の一行が店を訪れ自分が接客したが2分ほどしてオーナーがやって来てサンダース氏に退店するよう求めたと投稿した。

 元米外交官でミュージシャン兼活動家のブレナン・ギルモア(Brennan Gilmore)氏がこのウエーターの投稿画面と「86―サラ・ハッカビー・サンダース」と書かれた手書きメモの写真を合わせてツイッター(Twitter)に投稿したことから、サンダース氏の一件がネット上に広まった。「86」とはある客へのサービスを拒否したり追い出したりする場合に用いられる飲食店業界のスラング。

 サンダース氏も23日、ツイッターへの投稿で「昨晩、私は@POTUS(米合衆国大統領)のために働いているという理由でVA(バージニア)州レキシントンのレッド・ヘンのオーナーに店から出ていってほしいと言われ、丁重に退店した」と述べ、ウエーターの投稿は事実だと認めた。

■「道徳的な信念を貫くため」

 レッド・ヘンのオーナーシェフであるステファニー・ウィルキンソン(Stephanie Wilkinson)さんは、反トランプ派が多数を占めるこの小さな町では政治問題が激論に発展しやすいのだと説明し、「道徳的な信念を貫くために、時には気分の良くない行為や決定をしなければならないこともある」と語った。

 ウィルキンソンさんの店では同性愛者の従業員が多く働いているが、サンダース氏はトランスジェンダー(性別越境者)の米軍入隊を全面禁止しようとしたトランプ大統領の試みを擁護していたとウィルキンソンさんは主張。さらに、不法移民の親から子どもが引き離さすことになるトランプ大統領の政策をサンダース氏が支持したことにウィルキンソンさんは肝をつぶしたという。

 ウィルキンソンさんは、自分の店では誠実さや思いやり、協調といった価値基準を守っているとサンダース氏に説明したうえで「退店をお願いしたい」と告げたという。

 23日午後も続いたレッド・ヘンのオンラインレビューでは、店側の姿勢を称賛して星5つを付けるユーザーもいれば、ウィルキンソンさんの態度は「差別」だと非難して星1つだけのユーザーもいる。

■トランプ政権メンバーに相次ぐ受難

 サンダース氏の出来事に先立つ19日には、不法移民親子が引き離される政策の最前線に立つキルスティン・ニールセン(Kirstjen Nielsen)国土安全保障長官が首都ワシントンのメキシコ料理店での食事中、周囲の客から「恥を知れ!」などと罵声を浴びせられる憂き目にあっている。罵声はニールセン氏が店を出るまで続いた。

 米タブロイド紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)によれば、スティーブン・ミラー(Stephen Miller)大統領補佐官も21日、首都ワシントンの別のメキシコ料理店で食事中に「ファシスト」呼ばわりされたという。(c)AFP