【6月24日 AFP】22日に行われたサッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)のセルビア対スイス戦で、スイスのグラニト・ジャカ(Granit Xhaka)とシェルダン・シャキリ(Xherdan Shaqiri)がゴール後に取ったポーズに政治的な意図があったと指摘されている問題で、国際サッカー連盟(FIFA)は両選手の調査を懲罰委員会が始めたと明かした。

 コソボにルーツを持つジャカとシャキリは、どちらもセルビア戦で得点を決めた後に手で「双頭のワシ」をつくるポーズでゴールを喜んだ。双頭のワシはアルバニア国旗に描かれているマークで、コソボでは人口の多くを占めるアルバニア人が、このマークを自らのアイデンティティーの象徴として捉えている。セルビアの自治領だったコソボは2008年に独立を宣言したが、セルビア側は独立を認めていない。

 FIFAはスタジアム内で政治的なメッセージやシンボルを掲示するのを禁止している。FIFAが規定に違反したという判断を下せば、2選手には最大で2試合の出場停止処分が科される可能性がある。

 一方でFIFAは、セルビアのムラデン・クルスタイッチ(Mladen Krstajic)監督に対する調査も開始した。クルスタイッチ監督は、自分たちにPKを与えなかった主審を裁判にかけろと批判したことが問題視されている。

 問題の場面は後半21分に起こり、セルビアのアレクサンダル・ミトロビッチ(Aleksandar Mitrovic)がスイスのDF2人にペナルティーエリア内で押し倒されたように見えたが、ドイツの主審はPKを取らなかった。

 この判定にセルビア側は激高。クルスタイッチ監督は試合後、国内メディアに対して「勝利を盗まれた。私なら主審にイエローカードもレッドカードも出さない。ハーグ(Hague)に送り、裁判を受けさせる。われわれがさせられたように」と話し、オランダ・ハーグで行われた旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)を引き合いに出して主審を批判した。

 さらにこの試合では、セルビアのファンが政治的かつ挑発的なメッセージを掲げており、FIFAは監督責任のあるセルビアサッカー協会(FSS)に対しても懲罰委員会で調査を進めている。(c)AFP