【6月23日 AFP】米ワシントンを拠点とする人権団体「米州人権委員会(IACHR)」は22日、中米ニカラグアで2か月前から続く反政府デモの死者が212人に達したと明らかにした。IACHRは、同国のダニエル・オルテガ(Daniel Ortega)政権に「深刻な」人権侵害の責任があると非難している。

 IACHRは同国を視察した後、97ページからなる報告書を発表。その中で「ニカラグアは4月18日に始まった社会的な抗議運動において、人権の尊重、保護、保障という国際的な義務を果たしていない」と指摘。

 さらに「逆に、同国の対応はデモ参加者およびデモ参加者が象徴する社会運動の抑圧と犯罪化を特徴とするもので、深刻な人権侵害につながっている」とした。

 IACHRによると、一連の政情不安における負傷者は1300人余りに上っている。

 同国の混乱は社会保障制度改革に対する比較的小規模な抗議デモから始まった。デモはオルテガ大統領に対する大衆暴動に発展し、改革が撤回される一方で、政権側部隊による暴力的な取り締まりが行われた。

 暴力終結に向けた交渉は一旦打ち切られた後に再開していたが、18日までに再度決裂。国内で影響力を持つカトリック司教や市民団体は、政府は国際機関の調査拡大を受け入れるとの約束を果たしていないと非難している。

 司教らは反政府派と政府の衝突が激しさを増した先月から仲介を任されており、「新たな虐殺を回避する」ため、21日にも包囲を受けている反対派の拠点都市マサヤ(Masaya)を訪れた。

 司教らは、ラモン・アベヤン(Ramon Avellan)警察署長が警察と大統領派武装集団による攻撃を終結させることと、抗議デモでの逮捕者を釈放することを約束したと述べた。(c)AFP