【6月23日 東方新報】期限切れの薬をごみ箱に捨てている家庭は多いだろうが、専門家は「環境汚染の原因となるだけでなく、加工されて再販売される危険もある」と警鐘を鳴らしている。ただ、中国には期限切れの薬の扱い方について規定する法律や監督システムが存在せず、回収制度も確立されていない。

 業界関係者によると、期限切れの家庭用医薬品は「国家危険ごみリスト」にも記載されている。普通の家庭ごみと同じように捨てると、環境を汚染する恐れもある。

 また、期限切れ医薬品を安価で買い取り、加工して販売する犯罪グループも存在する。

 期限切れ医薬品の処理について、ある薬局の担当者は「うちでは回収はしていないし、問い合わせも少ない」と話した。

 中国人民大学(Renmin University of China)法学院の劉俊海(Liu Junhai)教授は、「期限切れ医薬品処理は法律の空白地帯だ。中国は期限切れ医薬品の販売を法で禁じているが、回収制度はなく、責任の所在も明確でない」と指摘した。

 今年3月には、中国で初めて「全国家庭期限切れ医薬品回収連盟」が設立されたが、活動は1か月で終了した。利用者が携帯で連絡すると、宅配業者が回収に来るシステムだったが、関係者は「無料での回収は、コストがかかりすぎた」と説明した。

 劉俊海教授は「政府は製薬会社に期限切れ医薬品の回収を求める制度を整備し、違反者は処罰するべきだ」と話している。(c)東方新報/AFPBB News