【6月22日 AFP】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)、ニジニーノブゴロド・スタジアム(Nizhny Novgorod Stadium)で行われた21日の試合で、リオネル・メッシ(Lionel Messi)を擁するアルゼンチンはクロアチアに0-3に敗れ、グループ敗退の危機に直面している。そこでAFPは、この試合から分かった5つの項目をまとめた。

■メッシに批判の余地はない?

 アルゼンチンは戦前、メッシの実力をどのようにして最大限に引き出すかに注目が集まっていたが、試合直後にはチームメートがそれに失敗した理由について追及された。しかし、メッシ自身はどうだろうか?この日のクロアチア戦では珍しく覇気が感じられず、エネルギッシュなパフォーマンスにも欠けていた。やる気を見せていた時間はほんのわずかで、相手を脅かして試合の均衡を破ったり、先頭に立ってチームの反撃をうながしたりするような場面は一度もなく、ボールに触れていない時間も長すぎた。アルゼンチンがチームとしてまとまりがないと激しく批判される理由は、スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)でプレーするスーパースターにも原因の一端があるかもしれない。

■クロアチアがいかに素晴らしかったか

 報道ではアルゼンチンとメッシにばかり注目が集まっているが、クロアチアが見せた素晴らしいパフォーマンスを無視してはならない。クロアチアは前半から最大限にチャンスをつくり出し、終始アルゼンチンを封じ込めてリードが危うくなるような場面は一度もなかった。ズラトコ・ダリッチ(Zlatko Dalic)監督は「われわれは、この試合を完全に支配するにふさわしかった」と述べており、それは正しい。

■神懸かっていたモドリッチ

 激しい競り合いとなった前半で、一人だけ常にボールに食らいついていたようにみえたのはクロアチアのルカ・モドリッチ(Luka Modric)だった。モドリッチは後半に入っても試合の流れを引き寄せると、素晴らしいゴールで勝利を決定づけた。この試合ではスペイン1部リーグでプレーするある選手が活躍すると期待されていたが、レアル・マドリード(Real Madrid)に所属するモドリッチの名前を挙げた人はいなかった。

■スケープゴートはカバジェロ。しかし、ペレスの責任は?

 ウィルフレッド・カバジェロ(Wilfredo Caballero)は仮に眠れたとして、翌朝どんな気持ちで目を覚ますのだろう?混乱が落ち着いた後、アルゼンチンの「ボルガ(Volga)での惨敗」でスケープゴートにされるのはカバジェロになるとみられる。しかし、エンソ・ぺレス(Enzo Perez)の前半のミスはどうだろうか?クロアチアのデヤン・ロブレン(Dejan Lovren)とGKダニエル・スバシッチ(Danijel Subasic)が一瞬の隙を突かれてゴールはがら空きとなっていたが、ペレスはこの決定機を生かせず、アルゼンチンが先制するチャンスをふいにしてしまった。

■アルゼンチンファンはもう少し大会にとどまるにふさわしい

 アルゼンチンの選手への同情は必要ないかもしれないが、試合後に涙を流してうちひしがれていた一部ファンには共感を禁じ得ない。いつものように大勢でスタジアムを訪れ、熱心に合唱して雰囲気を盛り上げる姿は、この日にニジニーノブゴロド・スタジアムで観戦していた人々の記憶にずっと残ることだろう。少なくとも、彼らはもう少し長くロシアにとどまるにふさわしい。(c)AFP