【6月21日 東方新報】中国・北京市(Beijing)、上海市(Shanghai)では現在、屋内全面禁煙が実施されている。だが、浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)がこのほど発表した「喫煙規制法規」の改正案には、屋内に喫煙室を設置する案が含まれ、中国喫煙規制協会の専門家らは今回の杭州市の動きに「意外」「驚き」といった反応を見せた。

 杭州市は2009年、全国に先がけて「杭州市公共場所喫煙規制条例」(正式実施は2010年)を発表。それから9年が経過した今、なぜ条例を改正する動きが出てきたのか。

 杭州市人民政府は今年1月22日、公式サイトで「杭州市公共場所喫煙規制条例」(改正草案)を発表。改正の対象となっていた部分は、「屋内の公共の場所での喫煙を禁止する」という項目で、改正前は「医療機関や学校などの10か所の公共の場所での禁煙と、9か所の公共の場所では喫煙所を設置する」という内容だった。

 しかし今年4月に杭州市人民代表大会の公式サイトで公開された「『杭州市公共場所喫煙規制条例』の改正に関する決定(草案)」では、屋内での禁煙に関する記述がなくなっており、9か所の公共の場所での喫煙所設置に関する記述だけが残っていた。

 中国喫煙規制協会の専門家、許桂華(Xu Guihua)氏は、5月に杭州市人民代表大会に説明を求める内容の文書を送った。「9年前から全面禁煙の政策を進めているのに、いまだに喫煙所を設けるなど、まったく進歩がみられない」と話す。

 世界保健機関(WHO)駐中国代表処のたばこ規制部門の孫佳妮(Sun Jiani)氏は、「中国の公共の場所での100%全面禁煙は可能だ。北京と上海、深センが証明している。杭州市で例外が許されてしまえば、これらの都市の長年の努力が無駄になる。今後、喫煙規制に取り組もうとしている地域にも悪影響だ」と批判した。

 条例改正に対する批判を受けて、杭州人民代表大会関係者は、次の同大会常務委員会で再度、審議の対象になるだろうと話している。

 杭州市衛生・計画生育監督所の関係者は、今年に同市内で受けた喫煙に関するクレームは103件で、そのうち最も多かったのは飲食店で43件、次いでインターネットカフェが25件、商店が8件などで、過去と比較してもあまり変化はないという。(c)東方新報/AFPBB News