■次なる破壊的変革

 音声ショッピングで鍵となってくる要素は、各社のAIアシスタントの応答のトーンやパーソナリティーで、それが各社のイメージやブランドの確立に一役買う。

 企業向けプラットフォームを開発する米ITソリューション企業、ライブパーソン(LivePerson)の取締役副社長、マンリオ・カレリ(Manlio Carrelli)氏によると、「会話型インターフェース」は一定の状況下で圧倒的に強いという。

「つまりは、スター・トレックだ」と同氏はAFPに述べた。「ただ、自分が欲しいものを言うだけで、それが手に入る。その後ろのからくりがどうなっているかなんて、消費者は気にしない。ただ欲しいものを手にできればいいんだ」

 カレッリ氏いわくこうしたシステムは、販売だけではなくカスタマーサービス的にも重要だ。コールセンターを減らして大きくコストダウンできる。

 米小売り大手ウォルマート(Walmart)はアマゾンとの競争の一環としてこのほど、テキストメッセージ経由で商品を注文するショッピングサービス「ジェット・ブラック(Jetblack)」を開始した。このサービスでは、AIだけでなく、専門家も商品についての提案を行う。ウォルマートは、音声ショッピングを基本とした即日宅配サービス「グーグル・エクスプレス(Google Shopping Express)」にも出品している。

 OC&Cのレポートによると、アップルの音声アシスタント「シリ(Siri)」は、その機能面においてグーグルアシスタントに一歩リードを許しており、音声ショッピングの分野でも遅れている。スマートスピーカー「ホームポッド(HomePod)」もようやく出回り始めたばかりだ。

 他方で、米SNSのフェイスブック(Facebook)もスマートスピーカーをリリースするとの憶測も広まっており、一部のアナリストらは、音声ショッピング市場への参入は今後も増えるとみている。

 OC&Cのジョン・フランクリン(John Franklin)氏はこう語る。「音声ショッピングは、小売業界における次なる破壊的変革を示している。電子商取引やモバイル商取引が小売業界の状況を一変したように、スマートスピーカーを通じたショッピングも変革をもたらすだろう」 (c)AFP/Rob Lever