【6月21日 CNS】中国・武漢動物園(Wuhan Zoo)のジャイアントパンダ偉偉(Wei Wei)が20日、10年ぶりに生まれ故郷の四川省(Sichuan)へ向けて旅立った。空港に向かう運搬車に載せられた偉偉を、多くの来園者が見送った。

 20日午前8時、偉偉は運搬用のおりへ移動。来園者は、おりの中で小さく丸まって寂しそうな様子の偉偉を、来園者らが心配そうに見守っていた。

「偉偉はこれから長い旅に出るので出発前の準備をしています」。動物園側は来園者のために、「案内書」をパンダ舎に貼り出した。

 現在13歳の偉偉は、四川大地震が起きた2008年、3歳の時に武漢(Wuhan)にやって来た。以来、はや10年。体重も86キロから116キロに成長し、偉偉はたくさんの「パンダファン」の心をつかんでいた。しかし、飼育員が勤務中に喫煙するなど不適切な行為を含め、偉偉が虐待されたとされる動画をインターネットユーザーが公開。メディアでも報道され、注目を集めていた。

 武漢動物園管理処は調査の結果、虐待などの事実を認めており、担当飼育員の停職処分を発表。パンダ舎の環境問題にも言及し、改築作業を進めているとしている。

 偉偉の「里帰り」は、改築作業の際の騒音による影響を懸念し、中国ジャイアントパンダ保護研究センター(China Conservation and Research Center for the Giant Panda)に相談。偉偉を生まれ故郷の四川で休ませ、新舎の完成後に再び呼び戻すことを決めた。

 偉偉を見送るために動物園を訪れたという張さんは、「武漢には当初、『希望(Xi Wang)』というパンダが偉偉と一緒にやって来た。数年前に希望が別施設に移されてから、偉偉はずっと一人ぼっちで寂しそうだった。故郷に帰ればたくさんの仲間たちがいるし、帰郷は偉偉にとって良いことだと思う」と話していた。(c)CNS/JCM/AFPBB News