■「旅先での恋のようなもの」

 マリア(Maria)と名乗った25歳の金髪の女性は、「外国人と会うチャンスが何倍にも増える」W杯が「待ちきれなかった」と話す。芸術を志す学生だというマリアさんは、「きっと一番の武器になる」と思って大会前に英語の授業を取ったそうだ。

 マリアさんの友人で、ロシア語以外に3か国語を流ちょうに話すリュボフ(Lyubov)さんは、W杯を「絶好の機会」と呼び、「普段はデートは週2回だけど、今は4回。何人かはお断りしなくちゃいけないくらい」とうれしそうに話す。

 もちろん、2人とも甘い幻想は抱いていないし、大会が終われば男性たちが国へ帰ることは分かっている。リュボフさんは「旅先での恋みたいなもの。まあ、私たちはずっとここにいるわけだけど」と少しさみしそうに言う。

 マリアさんは、ロマンスだけでなく「ロシア女性のイメージアップ」という別の使命にも燃えている。アルゼンチンサッカー協会(AFA)は5月、「ロシア女性とムフフなことをするために」というデートマニュアルを出して性差別との集中砲火を浴び、謝罪を強いられた。マリアさんは「観光客は陳腐なイメージを持ってやってくる。挑発的な格好をしたチョロい女と会えると思っている。私はその思い込みを変えたい」と話している。