【6月26日 AFP】ある日の午後、モスクワのとある公園。サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)に臨むアルゼンチン代表を応援するためにロシアを訪れた青年が、数字を数えている。もっとも、数えているのは代表が決めたゴールの数ではない。ロシアへ来てから聞き出した女の子の電話番号の数だ。

 エンジニアだという26歳の青年は、青と白の縦じまのユニホーム姿で「4人!」と叫ぶ。ゲットした番号の数を友人と競い合っているのだ。青年は、自分の「エキゾチックな部分」がロシアの首都で「愛を見つける」武器になるのではと考えている。

 一行は、人気の出会い系アプリ「ティンダー(Tinder)」でロシアの女の子たちの自撮り写真をフリックする。青年は「次の試合まで暇だから、こっちの子とお近づきになれたらと思ってさ。競争は激しいよ。何しろW杯を見に来る男の数が数だ。スペイン語か英語を話せる子もほとんどいない」と話す。

 しかし言葉の壁もなんのその、モスクワの街では、たくさんのロシア人と国外のサッカーファンが逢瀬を楽しんでいる。ただ、こうした行動に対する政治家の見方は割れているようだ。

 家族や女性、子どもに関する下院委員会を率いる共産党議員は、「他人種」の子どもを一人で育てる羽目に陥らないためにも、外国人男性との情事は避けて「われわれの子どもを生まなくてはならない」と発言。対して極右系ロシア自由民主党(LDPR)の下院議員は、「W杯をきっかけにした恋が増えるほど、生まれる子どもの数も多くなる。結構じゃないか」と話している。

 政府はW杯ロマンスは個人の自由だと考えていて、ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は「ロシア女性なら、自分のことは自分でなんとかできるはず。何しろ世界一の女性たちなのだから」と話している。