【6月20日 AFP】イタリアの極右政党「同盟(The League)」を率いるマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)内相は19日、同国内に居住する少数民族ロマの人口調査を実施するとした自身の計画を擁護した。同計画には適切な書類のない外国籍のロマ人の国外追放も含まれており、国内外から怒りの声が上がっている。

 野党議員らは、サルビーニ氏の提案を「人種差別的」で「ファシズム的」だと非難。しかし同氏は「諦めず進む! イタリア人とその安全が第一だ」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 しかし怒りの声は収まらず、サルビーニ氏は自身の計画について釈明。自党「同盟」からの声明を通じ、「誰かの指紋を採取・記録する意図はない。目的は、ロマ人キャンプの現状把握だ。定期的に学校へ通うことが認められていない何千人もの子どもたちを守りたい」と説明した。

 サルビーニ氏の提案に対する非難は急速に広がっており、野党だけでなく樹立されたばかりの連立政権内からも異議が上がった。

 反既成勢力を掲げ、同盟と連立を組む「五つ星運動(M5S)」を率いるルイジ・ディマイオ(Luigi Di Maio)副首相は、民族に基づいて人口調査を行うのは「憲法違反」だという見方を示した。新たなポピュリスト(大衆迎合主義)政権が今月1日に発足して以来、ディマイオ氏が連立相手のサルビーニ氏に対して公に異論を唱えたのはこれが初めて。

 さらに、欧州連合(EU)もこの問題に介入。欧州委員会(European Commission)のアレクサンダー・ウィンタースタイン(Alexander Winterstein)報道官は記者団に対し「一般規則として、欧州市民を民族に基づき国外追放することはできない」と述べた。(c)AFP/Lucy ADLER