【6月21日 AFP】イングランド代表のハリー・ケイン(Harry Kane)は、チュニジアとの大会初戦で終了間際に決勝点を奪い、W杯ロシア大会(2018 World Cup)という大舞台で期待に応え、ギャレス・サウスゲイト(Gareth Southgate)監督が率いるチームを白星発進に導いた。――それは24歳で代表チームのキャプテンマークを巻き、母国の期待を背負うケインにとって最高のW杯デビューとなった。

 ケインは所属するイングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)で優勝した経験がなく、2016年の欧州選手権(UEFA Euro 2016)では4試合に出場しながらも無得点に終わった。最近2シーズンのプレミアリーグで計59得点を稼ぎ出しているケインは、試合前の記者会見で現地のロシア人記者から優勝経験がないことを指摘されると、「4週間後、もしかしたらここに大きな金色のものを持っているかもしれない」と返答している。

 18日にボルゴグラード・アリーナ(Volgograd Arena)で行われた試合で、ケインが必要としていたのは2度の決定機だけだった。前半11分、チュニジアのGKムエズ・アセン(Mouez Hassen)に阻まれたジョン・ストーンズ(John Stones)のヘディングのこぼれ球に反応し、チームに先制点をもたらすと、試合終了間際にはファーポストで待ち構え、イングランドを2-1の勝利に導く価値のある2得点目を記録した。

 チュニジアのナビール・マールール(Nabil Maaloul)監督は試合後、守備陣がケインを封じ込むことだけに注力していたと明かしている。しかし、その守備陣が2つのセットプレーでケインの姿を見失い、それが失点につながったことについて「彼はいつも必要な場面で、正しい位置にいた。彼は最高のストライカーだ」と語った。

 ゴールの場面以外ではほとんど姿を消していたケインだが、ほかのストライカーの追随を許さない唯一無二の才能を持ち、チャンスさえあればどんな形でも得点を奪うきゅう覚を備えている。ケインは「きょうはうまくいかない日なのかもしれないと頭をよぎったけれど、こういう展開こそ頑張って90分以上の試合を勝ちきるんだ。そしてきょうは幸運なことに、終了間際に点を入れることができた」と話した。

 ケインは今、イングランド代表の英雄たちと肩を並べようとしている。W杯の試合で1試合2得点を記録した同国代表選手は、1986年大会の得点王に輝いたギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏が1990年大会のカメルーン戦で記録したのが最後だった。そして同国代表の歴代最多得点記録保持者であるウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)のW杯通算得点数をたった1試合で上回った。

 ケインはイングランド代表でキャプテンマークを巻いてからの計6試合で8得点、代表チームでプレーした最近8試合では11得点を稼ぎだしている。サウスゲイト監督は「もしケインがゴールを決めていなければ、大舞台における彼の得点能力に関する質問に答えてるだろうね」と話した。

「彼が唯一成し遂げていないのは8月に得点を記録することだ。それ以外の障害を乗り越えているので、個人的にうれしく思う」(c)AFP