【6月19日 AFP】国連(UN)は19日、ミャンマーやシリアをはじめ戦争や暴力行為、迫害によって避難を余儀なくされた人の数が、過去最多の6850万人に達したと発表した。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が出した報告書によると、昨年末の避難民総数は、前年よりも300万人近く増えた。さらに10年前の4270万人に比べると、5割増加したという。

 現在の6850万人という数はタイの総人口に匹敵し、世界平均で110人に1人の割合に当たるとしている。

 報告書の発表に先立って記者会見したUNHCRのフィリッポ・グランディ(Filippo Grandi)高等弁務官は、「世界各地の避難民対応を適切に行っていくには、当事者となる国やコミュニティーだけが自力で問題解決する立場に追い込まれないよう、新しい、より包括的な手法を模索すべき転換期に立たされている」と指摘した。

 その一方でグランディ氏は、避難民のおよそ70%の出身国がわずか10か国に絞られることにも言及。

「もしこの全10か国、または少なくとも一部の国における紛争に解決策があったなら、この膨大な数は毎年増え続けるのではなく、減少に転じる可能性がある」と述べ、これほど多くの避難民を出している危機的状況を打破するための政治的意志の必要性を訴えた。(c)AFP/Nina LARSON