【6月19日 AFP】ブルガリア出身のアーティスト、クリスト・ヴラディミロフ・ヤヴァシェフ(Christo Vladimirov Javachef)氏が制作したカラフルなドラム缶が湖に浮かぶ巨大アート作品がロンドン中心部で完成し、18日披露式が行われた。不可思議なインスタレーション作品は、人々の感覚を刺激し、あれこれ考えてもらうことを意図しているという。

 アート作品「The London Mastaba(ロンドン・マスタバ、マスタバは墳墓の意)」は、ロンドンのハイド・パーク(Hyde Park)内にあるサーペンタイン・レイク(Serpentine lake)の水面に、600トン分のドラム缶7506個を台形に積み上げている。式には米在住の神秘的な雰囲気をまとったクリスト氏が出席し、作品をお披露目した。

 作品は高さ20メートル、幅30メートル、奥行き40メートルで、数百メートル先からでも目に入る。作品を見て、ロンドン中心部の緑あふれる公園に石油容器にもなるドラム缶を置くことは、環境的なメッセージが込められているのだろうかと考える人もいるだろう。あるいは、プリズム、巨大なピクセルアート、シンプルな幾何学的アートなどと捉える人もいるかもしれない。

 だが、83歳のクリスト氏は、作品の解釈は自由で、何のメッセージも付けていないと説明する。「メッセージはない――自分自身を知るための何かがある。私が導くことはできない。個人個人が自分の感覚を研ぎ澄ます必要がある」と述べた。

 クリスト氏は著名なコンテンポラリー・アーティストで、仏パリの最古の橋をナイロン製の布で包んだ「梱包されたポンヌフ」(1985年)や、同じようにベルリンの国会議事堂を包んだ「梱包されたライヒスターク」(1995年)などの作品で知られている。(c)AFP/ Edouard GUIHAIRE