【6月19日 AFP】サッカー2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)に出場する日本代表の酒井宏樹(Hiroki Sakai)は、19日にモルドビア・アリーナ(Mordovia Arena)で行われるコロンビアとの初戦でW杯デビューを果たせば、これまで歩んできた道が困難なものだったと思うはずだ。

 2016年にフランス・リーグ1のオリンピック・マルセイユ(Olympique de Marseille)に加入し、前途多難なデビューを飾った酒井は、それを克服しようとする野心や意欲で監督らに強い印象を与え、情がないことで広く知られるマルセイユファンの間でも確固たる人気を得た。

 日本代表でアシスタントコーチを務めたジャッキー・ボヌベー(Jacky Bonnevay)氏は、酒井がマルセイユでプレーした最初の数試合について「心配だった」と語る。当時の酒井は頻繁にボールを失い、右サイドバックのポジションからなかなか攻撃に参加しようとせず、ディフェンスの際にはぼろを出していた。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ(Vahid Halilhodzic)前監督の下でコーチを務めたボヌベー氏は、「私は彼に『もっとうまくプレーしなければならない』と言ったよ」と明かし、「マルセイユは普通のクラブではない。妥協しないクラブであり、忍耐の点でいうと秀でているわけではない」と続けた。

 酒井はその後、真剣に取り組み、チームの必要性に応じて自身の役割を切り替えた。ルディ・ガルシア(Rudi Garcia)監督の率いるマルセイユでアシスタントコーチを務めるクロード・フィショー(Claude Fichaux)氏は「今の彼はどこでもプレーができる」と評価した。

 ガルシア監督はヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2017-18)のRBライプツィヒ(RB Leipzig)戦で、本職が右サイドバックである酒井を3バックの左で起用した。その試合で移籍後初得点を記録し、チームメートからもみくちゃにされた酒井の活躍を、マルセイユのファンは忘れていない。

 ボヌベー氏は「彼はマルセイユ市民が求めるものを表している。それは何かと言うと自制心、自己犠牲、勇気、規律だ。彼はピッチの上で死ぬことができる男だ」と話している。

 酒井はブラジルで行われた4年前のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)で日本のベンチメンバーであったが、今大会は傑出した主役になることを望んでいる。酒井は本大会の開幕前、AFPに対して「W杯は子どものころの夢だった。今回は最大限プレーしたいし、できるだけ勝ち上がりたい」とコメントした。(c)AFP