【6月18日 AFP】「奴らは妹を縛り上げ、むちで打ち、レイプしたのです」。ジスラン・ベルトラン・ブアンガさんは、コンゴ(旧ザイール)の反政府組織リーダーだったジャンピエール・ベンバ(Jean-Pierre Bemba)元副大統領が率いた残忍な民兵組織が自宅を襲撃した時の様子を振り返って言った。

「あれ以来、妹には障害があります。奴らにとてもきつく縛られたせいで、両腕が動かないのです。妹は1年間、病院にいました。レイプされたせいで出血していました」

 ブアンガさんの妹は、ベンバ氏の私軍が2002~2003年にかけての5か月間に北側の隣国・中央アフリカで行ったレイプや殺人、略奪といった残虐行為の犠牲者だ。彼の母親と姉妹2人は殺された。

 ベンバ氏は、中央アフリカのアンジュ・フェリックス・パタセ(Ange-Felix Patasse)大統領(当時)に対するクーデター計画を阻止するために自身が率いるコンゴの反政府勢力、「コンゴ解放運動(MLC)」を派遣。後に同氏はMLCを政治団体に改変した。

 ベンバ氏はその後、この5か月間の戦争犯罪と人道に対する罪によって国際刑事裁判所(ICC)に禁錮18年の有罪判決を言い渡されたが、今月8日の控訴審判決で一転無罪となった。控訴審の判事らは、コンゴ政府過渡期の2003年に副大統領となったベンバ氏に対し、同氏の部隊が犯した罪について刑事責任を問うことはできないと判断した。

 同裁判は、ICCが戦争兵器としての性暴力に焦点を当てた初の事例だった。