【6月17日 AFP】国連(UN)のマーチン・グリフィス(Martin Griffiths)イエメン担当特使は16日、イエメン暫定政権側とイスラム教シーア派(Shiite)系の反政府武装組織「フーシ派(Huthi)」の攻防が激化する主要港ホデイダ(Hodeida)をめぐり、フーシ派が支配する首都サヌアで緊急協議を開いた。

 グリフィス氏はサヌアの国際空港への到着時には何も語らなかったが、ホデイダ港の支配権を国連管轄の委員会に移譲して進軍する暫定政権側との激しい戦闘を停止するようフーシ派幹部らに求めたとみられる。

 サウジアラビアと共に暫定政権側を支援しているアラブ首長国連邦(UAE)のアンワル・ガルガーシュ(Anwar Gargash)外務担当国務相はツイッター(Twitter)で、「正統なイエメン政府(暫定政権)にホデイダを安全に引き渡すのを促す」グリフィス氏の取り組みを支持すると表明した。

 イエメンが輸入する物資の70%以上が紅海(Red Sea)に面する主要港ホデイダを通過するため、国連は戦闘の激化によって深刻な食糧難に陥っているイエメンの人道危機が深刻化するのではないかと懸念を強めている。

 暫定政権側は13日、ホデイダ奪還作戦を開始。医療筋や軍事筋によると、作戦開始からこれまでに少なくとも139人の戦闘員が死亡した。

 人口約60万人のホデイダ地域は、2014年からフーシ派の支配下にある。サウジ主導の連合軍は今年、宿敵イランがフーシ派に武器を密輸するルートに使っているとして、ホデイダ港をほぼ全面的に封鎖した。

 ホデイダを奪還すれば、連合軍にとってこれまでの戦闘で最大の勝利となる。フーシ派指導者のアブドル・マリク・フーシ(Abdul Malik al-Huthi)氏は14日、激しく抵抗してホデイダで連合軍を苦境に陥れよと、フーシ派の戦闘員らに呼び掛けた。(c)AFP/Jamil Nasser