【6月17日 AFP】スペイン政府は16日、地中海で救助され、イタリアに受け入れを拒否された移民630人について、フランスから希望者を受け入れるとの申し出を受けたことを明らかにした。

 地中海で移民・難民の救助活動などに取り組むNGO「SOSメディテラネ(SOS Mediterranee)」がチャーターした救助船「アクエリアス(Aquarius)号」が17日朝、救助した630人の移民を乗せてスペインに到着する予定になっている。

 スペインのカルメン・カルボ(Carmen Calvo)副首相は、移民らはスペイン東部バレンシア(Valencia)で所定の手続きを取った後、フランスに行く意思を表明した移民はフランスが受け入れると述べた。

 ペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相は移民の受け入れについてフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領に謝意を表した。

 バレンシアでは、長い航海を経て疲れ切った移民の受け入れ準備が進められている。

 アクエリアス号は先週末、リビア沖で妊婦や大勢の子どもを含む移民630人を救助した。SOSメディテラネと共にアクエリアス号の船上で移民の処置に当たっている国際緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」によると、先週末にリビア沖でアクエリアス号が最初に困難な状況に遭遇した時、移民2人が水死したという。

 MSFによると、アクエリアス号が救助した移民の出身国は主にアフリカ諸国だがアフガニスタンやバングラデシュ、パキスタンなど26か国に及ぶ。

 バレンシア当局の発表によると、450人が成人男性、80人が成人女性で少なくとも7人は妊娠していた。13歳未満の子どもが11人、14歳以上の未成年が89人だった。

 移民らの受け入れのため、赤十字(Red Cross)のボランティア1000人、通訳470人など総勢2320人が動員されており、600人以上の報道陣が移民到着の取材を許可された。バレンシア当局には、手助けをしたいという個人から2000を超える電話やメッセージが寄せられた。(c)AFP/Diego Urdaneta with Franck Iovene in Rome