【6月16日 AFP】スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)に所属する同国代表DFジェラール・ピケ(Gerard Pique)が16日、フランス代表FWアントワーヌ・グリーズマン(Antoine Griezmann)がアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)残留を宣言する映像の制作に関わったことで、批判にさらされ驚いていると話した。

 グリーズマンは14日に公開された映像でアトレティコに忠誠を誓い、バルセロナへの移籍騒動に終止符を打った。バルセロナは2016年欧州選手権(UEFA Euro 2016)得点王のグリーズマン獲得を今夏の最大のターゲットとしていた。

「ザ・ディシジョン(The Decision)」と題された今回の映像は、ピケが所有する制作会社コスモス・スタジオ(Kosmos Studios)が制作した。

 フランス代表を指揮するディディエ・デシャン(Didier Deschamps)監督は15日、W杯ロシア大会(2018 World Cup)初戦のオーストラリア戦2日前のアトレティコ残留の発表のタイミングは「問題ない」としているが、スペインではピケが果たした間接的な役割が物議を醸している。

 これに対し、ピケは「バルセロナの反応に面食らっている。私のクラブへの関わりと愛が疑問視されていることに驚いている」と話した。

「(クラブの)ジョゼップ・マリア・バルトメウ(Josep Maria Bartomeu)会長には話をしていて何の問題もない。彼はグリーズマンが契約すると思っていたので少しいら立っていた」

 映像にはアトレティコ残留を決めるまでのグリーズマンとバルセロナとの交渉の様子が詳細に収められており、スペインのメディアは、ピケがグリーズマンの意思を知っていたにもかかわらずクラブに報告していなかったのではないかとされていると報じ、ピケへの反発は日増しに高まっていた。

 バルセロナを拠点とするスペインの日刊紙スポルト(Sport)でディレクターを務めるエルネスト・フォルク(Ernest Folch)氏は、「このドキュメンタリーは、特定の選手の影響力がいかに強くなってきているかの証左だ。彼らはいまは自分たちがしたいようにできると考えている」とコメント。

 同じくバルセロナを拠点とするスポーツ紙ムンド・デポルティーボ(Mundo Deportivo)は、「プロデューサーとして彼はすべてを知っていた」としてピケを批判している。

 ピケは過去にも同じような論争を巻き起こしている。2017年夏にピケは、ネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)がバルセロナを離れてパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)に移籍する決断を、本人がクラブ側に伝える前に把握していた。

 ポルトガルと3-3で引き分けた15日のスペインの初戦直後、ピケは今回の騒動について個人的な責任はないと火消しを図った。

「バルセロナが過去数か月にわたってうわさされていた選手と契約しなかったという事実に関し私の責任はない」

「グリーズマンは2、3か月前にバルセロナと契約するかもしれないと私に言った。私はそれを映像にすることができると言い、こういった種類の重要な決断がどのように下されるのかを内部から明らかにしようと映像を作った」 (c)AFP