【6月16日 CNS】車載電池の世界最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)がこのほど、深セン株式市場で株式公開を果たした。

 CATLは「2017年中国ユニコーン企業発展報告」で、企業価値200億ドル(約2兆2000億円)で6位にランクインした。

 また、胡潤研究院(Hurun Research Institute)が17年末に発表した「2017胡潤大中華区ユニコーン指数」では、120社中5位だった。

■短期間で急成長

 2年前、CATLはほどんと注目されていなかった。

 だが、今年の北京モーターショーでは、広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)、華晨汽車(Brilliance Auto)、上海汽車集団(SAIC)、奇瑞汽車(Chery Automobile)、北京現代(ヒュンダイ)(Beijing Hyundai Auto)、フォルクスワーゲン(VW)、BMW、長城汽車(Great Wall Motor)など大手メーカーの車に、CATLの電池が搭載されていた。

 モーターショーの会場でも、ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover)、拝騰(BYTON)などと提携を発表。多くの有力メーカーの車載電池生産を引き受けるまでになった。

 CATLは2011年12月創業。15年の車載電池の販売量は2.19ギガワット時だったが、16年には倍増し、パナソニック(Panasonic)、比亜迪(BYD)に次ぐ世界3位につけた。17年には11.84ギガワット時の販売量で、世界トップに立った。

 17年前半、CATLの車載電池の国内シェアは20.98%まで上昇。長らく首位の座にあったBYDを上回り、中国トップに立った。中国には140社以上のメーカーがある中、同年末時点でシェアを27%に拡大している。

 18年前半、CATLは自動車メーカー44社と車載電池供給契約を結んだ。そこにはBMW、ダイムラー(Daimler)、フォルクスワーゲンなどの中国での合弁メーカーも含まれている。また、長安汽車、東風汽車集団(Dongfeng Motor)の出資も受け、上海汽車集団と共同で工場も建設している。

■利益構造には危うさも

 しかし、CATLの経営基盤は盤石とは言えない。同社の17年の売上高は前期比34%増の199億元(3400億円)。純利益は同31%増の39億元(約670億円)だった。しかし経常利益をみると、15年は8億8000万元(約15億円)、16年は29億6000万元(約510億円)、そして17年は16%減少し24億7000万元(約430億円)だった。

 新エネルギー自動車産業の鍵を握っているのは、中国政府の補助金政策と車載電池技術だ。CATLも例外ではない。この3年、同社は10億6300万元(約180億円)の補助金を受けた。2017年度の補助金は4億900万元(約70億円)で、同年の純利益の1割を占めた。

 CATLの17年の経常利益がマイナスになったのは、政府の16年末の補助金政策の変更が不利に作用したためと見られている。

 政府は18年2月にも、補助金政策の見直しを発表し、航続距離が長く、電池の性能が高い車種に補助金を手厚くする方針を打ち出した。

 自動車メーカーの多くが、電池メーカーに価格を下げるよう圧力を強めているのも、CATLには逆風となるだろう。