【6月13日 AFP】歴史的な会談となったシンガポールでの米朝首脳会談は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長にノーベル平和賞をもたらすことになるのだろうか。専門家らは、「可能性はあるがその判断を下すのは時期尚早」としている。

 米朝両首脳は12日、詳細を詰めるまでには至らなかったが、「朝鮮半島の完全非核化を目指す」とする合意文書に署名した。一部コメンテーターや政治家らは、両者のこれまでの努力はノーベル賞に値するものだとしているが、専門家らは、現時点ではまだ難しいとの意見でおおむね一致している。

 その背景には、一連の出来事のタイミングとこれまでの行動とが、両首脳に不利に働いているということがあるようだ。トランプ大統領は先ごろ、イラン核合意からの米国の撤退を決め、国際社会に大きな衝撃を与えたばかり。一方の金委員長もこれまで数多くの人権侵害を犯している。

 それ以外にも、交渉そのものが結実するかどうかの問題もある。非核化のプロセスはリスクを伴い、複雑かつ長期にわたることに変わりはないのだ。

 ノーベル賞に詳しい歴史家のアスル・スベーン(Asle Sveen)氏は、金氏とトランプ氏の受賞について語るのは「時期尚早」だと述べる。「だが、(両者の合意)が朝鮮半島の非核化につながるのであれば、彼らに賞を授与しないことは極めて困難になるだろう」ともしている。

 米朝首脳会談前の時点で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領や米国のジミー・カーター(Jimmy Carter)元大統領、英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)外相らは、ノーベル平和賞に値する人物としてトランプ大統領の名前をすでに挙げていた。