【6月12日 AFP】米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)は11日、サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)開幕が迫るなか、米国がイランに科した経済制裁を理由にイラン代表チームに対するスパイクの提供を停止することを認めた。今回の決定は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が先月、2015年に結んだ核合意から離脱し、イランに制裁を科したことで両国間の緊張が高まったことを受けて下された。

 ナイキ社は「W杯初戦の準備をしているイランに対し、スポーツ用具の提供が禁止になった」と発表し、「米国の制裁は、米国企業のナイキが現時点でイラン代表の選手たちにスパイクを提供できないことを意味する」「ナイキも該当する制裁は長年のものであり、法律によって強制されるものだ」とコメントした。

 スポーツ専門チャンネルESPNは、同様の制裁が実効的であった2014年のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)期間中にナイキがイラン代表に用品を提供していたことに触れつつ、今回の決定はイランの指揮官をとまどわせたと伝えている。

 今回の決定についてイランのカルロス・ケイロス(Carlos Queiroz)監督は、「選手たちは自分たちのスポーツ用品に慣れており、これほど大きな大会が開幕する1週間前にそれらを変更するのは正しいことではない」と述べ、不満をあらわにしていた。ESPNによれば、一部の選手は所属クラブのほかの国の選手にスパイクを借りることで今回の件に対応していた一方で、店舗で自ら購入した選手もいるという。

 イランはW杯本大会でグループBに入っており、15日にモスクワでモロッコと対戦した後、スペイン、ポルトガルとも顔を合わせる。(c)AFP