【6月12日 AFP】スペインは11日、地中海で救助された629人の移民を収容した船の入港を認めると発表した。これに先立ちイタリアとマルタはこの船の入港を拒否し、移民の窮状に関する懸念が世界で強まっていた。

 地中海で移民・難民の救助活動などに取り組むNGO「SOSメディテラネ(SOS Mediterranee)」は9日、地中海中部で夜間に6回の救助活動を実施。救助した人の中には保護者のいない未成年123人、幼い子ども11人、妊婦7人も含まれていたと明らかにした。

 移民らはメディテラネの救助船「アクエリアス(Aquarius)号」に収容された。同船は現在、マルタとシチリア(Sicily)島の間にある。

 マルタと、発足したばかりのイタリアのポピュリスト連立新政権はいずれも移民らの受け入れを拒否し、義務を果たしていないと互いに相手国を非難した。イタリアで大きな反移民的な動きが起きたのは、極右政党「同盟(The League)」のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)氏が今月、内相に就任した後ではアクエリアス号の受け入れ拒否が初めて。

 SOSメディテラネのソフィー・ボー(Sophie Beau)事務総長は、海事法の下では船からの距離が最も短いイタリアまたはマルタへの入港が認められるべきだと指摘。国連(UN)は「人道的緊急事態」だとして、マルタとイタリアに直ちに入港を認めるよう要請していた。

 スペイン首相府は、社会労働党(PSOE)のペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相率いる新政権がアクエリアス号のスペイン東部バレンシア(Valencia)への入港を認めたと発表。声明で「人道的大惨事の回避を後押しし、こうした人々に安全な港を提供することが私たちの義務だ」と述べた。(c)AFP/Lucy Adler with Diego Urdaneta in Madrid