【6月10日 AFP】9日に行われた全仏オープンテニス(French Open 2018)の女子シングルス決勝を制し、悲願の四大大会(グランドスラム)優勝を飾ったシモナ・ハレプ(Simona Halep、ルーマニア)が試合後、第1セットを奪われ、続く第2セットも1ブレークダウンと先行を許しながら逆転勝ちを収めることができた理由に「精神的な強さ」を挙げた。

 この日、スローン・スティーブンズ(Sloane Stephens、米国)に3-6、6-4、6-1で勝利した世界ランキング1位のハレプは、第2セットも先に0-2とリードされた時点で自身はグランドスラムの決勝で4連敗を喫する運命だと悟ったといい、「そう感じたから『今回も無理かもしれない。でも、それでも大丈夫。とにかくプレーするしかない』と自分に言い聞かせた。そうしたら、そこからゲームを取れるようになった」と振り返っている。

 昨年のローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)でも決勝まで勝ち進んだハレプだが、第1セットを先取して第2セットも3-0とリードしながら、攻撃的なプレーを仕掛けてくるエレナ・オスタペンコ(Jelena Ostapenko、ラトビア)に苦杯をなめた。

 しかし、この日が3度目の全仏決勝だったハレプは、そうした経験のおかげで自身に逆転の可能性はあると考えられたと明かしており、「まだ挽回して勝つチャンスはあると自分に言い聞かせた。そう信じたことで、それまでよりリラックスしてテニスをすることができた。コート上で余裕が生まれたし、それが勝因だったと思う」とコメントした。

 結局、緊張感が漂う第2セットをものにし、最終セットで勝利をつかんだハレプだが、試合終盤には過去の失敗から重圧がのしかかったと認め、「5-0になってからは呼吸もままならなかった。それで、そのゲームを落としてからは『大丈夫、まだ追いつかれるまで4ゲームはあるから』と言い聞かせた」と付け加えている。

「去年はリードしていた時に少し守りに入ってしまったから、今度はそうならないように気を付けるだけだった。とにかくボールを返して足を動かし、最後のゲームということは考えないようにした。一球一球、一ポイント一ポイントというふうに。それがうまくできたし、試合を締めくくる上で精神的に非常に強くいることができた」

 また、これまでは世界ランク1位に立ちながらグランドスラムのタイトルを一つも手にしていないとして、多くの批判を浴びてきたハレプだが、ナンバーワンの肩書は重荷ではなかったという。

「(世界1位でいるのは)私にとっては非常にポジティブなことだった。昨年に世界ナンバーワンになれたという事実は自信になったし、同時に少しほっとした。ものすごく大きなものに手が届いたわけだし、あとはグランドスラムで勝つということしか頭になかった」

 さらに、2008年にローラン・ギャロスのジュニア王者に輝いた実績を持つハレプは、他のグランドスラムより全仏で先に優勝したかったとしており、今年初めの全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2018)決勝ではキャロライン・ウォズニアッキ(Caroline Wozniacki、デンマーク)にフルセットで敗れたが、負けてよかったとジョークを飛ばしている。

「ジュニアで勝った時は本当に大きな瞬間だった。もし、プロとしてグランドスラムで優勝するなら、同じのが良かった。だからメルボルンで勝てなかったのは、実際すごくうれしかった」 (c)AFP/Jed Court