【6月9日 AFP】米南部テキサス州のキリスト教会で昨年11月に発生した銃乱射事件で、家族のうち子ども、孫、ひ孫の3世代9人を失った高齢の夫婦が8日、事件を起こした男の犯罪歴がデータベースに未登録だったため銃の購入と所持を許したとして、連邦政府を相手取って提訴した。

 提訴したのはジョー・ホルコム(Joe Holcombe)さんとクラリス(Claryce Holcombe)さんの夫婦で2人とも80代半ば。孫のノア(Noah Holcombe)ちゃん(1)、娘で妊娠中だったクリスタル(Crystal Holcombe)さん(36)、クリスタルさんの5人の子どものうち3人を含む計9人を事件で失った。

 事件を起こしたデビン・パトリック・ケリー(Devin Patrick Kelley)容疑者は昨年11月5日、同州サザーランドスプリングス(Sutherland Springs)のファースト・バプテスト教会(First Baptist Church)で銃を乱射し26人を殺害、20人を負傷させた。容疑者は、その場に居合わせた人と撃ち合いになり死亡した。

 容疑者は過去に家庭内暴力で有罪判決を受けており、精神病歴もあった。重罪で有罪判決を受けた者は通常は銃の所持が認められないが、ケリー容疑者は合法的に銃を所持していた。

 銃販売の認可を受けた販売店は銃を売る前に購入希望者について「全米犯罪歴即時照会システム(NICS)」というデータベースで調べなければならないが、ケリー容疑者の情報はこのデータベースに登録されていなかった。ジョーさんとクラリスさんは、容疑者の犯罪歴が登録されていれば銃の購入や所持はできなかったはずだと主張している。

 かつて米空軍に所属していたケリー容疑者は、事件から5年前の2012年に軍法会議で妻と継子に暴力を加えた2件の罪で有罪判決を受けていたが、空軍はこの事実をNICSに登録していなかった。

 後日空軍が再調査したところ、犯罪歴が警察機関のシステムに報告されていなかったケースが多数あったことが発覚した。(c)AFP