【6月9日 AFP】国連(UN)は8日、アフリカ中部のチャド湖(Lake Chad)周辺地域で深刻な栄養失調に陥っている子どもが約50万人に上り、生き延びるため支援を必要としているが、人道支援のための資金が著しく不足していると警告を発した。

 チャド湖に接するナイジェリア、ニジェール、チャド、カメルーンをそれぞれ担当する国連高官らが、スイス・ジュネーブで記者団に述べた。

 ニジェール担当人道調整官ビントゥ・ジボ氏は、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」の蜂起で、まずナイジェリア、その後に近隣諸国が混乱に陥ってから10年近くたったが、地域の治安と人道危機は依然として「深刻」な状況にあると説明した。

 国連の統計によると、現在、この地域で食料不足により支援を必要としている人は約500万人、また深刻な急性栄養失調に陥っている5歳未満の子どもは全体の約半数に当たる49万人に上る。ジボ氏は、こうした子どもたちを治療しなければ、「死の危険がある」と指摘した。

 さらに、紛争と食料不足のために土地を追われた人は約240万人、殺害、誘拐や、性的暴行などの虐待の危険に直面している人は数百万人いる。

 国連は今年、チャド湖周辺地域での人道支援活動のため15億ドル(約1640億円)を調達することを目指しているが、これまでに集まった資金はその3分の1にとどまっている。

 ナイジェリア担当人道調整官のエドワード・カロン(Edward Kallon)氏は、軍事作戦は成功したかもしれないが、ボコ・ハラムは「影響力を維持している」と指摘。「最もリスクにさらされているのは年少者だ」とした上で、ボコ・ハラムが待ち構えているのも年少者であり、年少者に代替の生活手段をつくり出そうとしていると述べた。(c)AFP