■ゴールをこじ開けるのは、直前2つの動作の創造性

 ペレ(Pele)も決めた。メッシ(Lionel Messi)も決めた。ロナウド(Ronaldo)やネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)も決めた。

 華麗な技によるサプライズは試合を一瞬にして変え、ファンたちに火をつけることができる。ペレによって有名になったバイシクル・シュートや、ノールックにキックフェイント、ディフェンダーを翻弄(ほんろう)する「エラシコ」と呼ばれるドリブル…これらは観衆を湧かせるためにだけ発明された技ではない。

「高い創造性」が実は、勝者を予測する良い目安になるとする研究が4月、英スポーツ科学専門誌「ジャーナル・オブ・スポーツ・サイエンス(Journal of Sports Sciences)」に発表された。

 研究では2010年と14年のW杯と、16年の欧州選手権(UEFA Euro)のうち得点があった153試合の流れの中での全ゴール311点を分析した。特に着目したのはそれぞれのゴール前の8つの動作で、ボールの扱いのコンビネーションに「サプライズがあること、オリジナリティーがあること、フレキシブリティーがあること」を基準に「創造性」を0~10点で採点した。

 結果、ゴールを狙う前の最後の2つの動作に高い創造性があるかどうかが、試合の行方を占う最も有効な予測材料になることを発見した。

 この研究によると極めて創造的な動作は試合中には珍しく、10回の動作に対して1回を下回る割合だったが、得点されたゴールのほぼ半分には1回以上の極めて創造的な動作が関与していた。

「チームの勝利にとって戦術的な創造性は決定的な要素」であると思われ、それは選手の選考が重要な鍵となる上に「トレーニングによって」高められるべきだと研究者らは指摘している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux